あらまし
- 新型コロナウイルス感染症の影響で減収や失業等により生活が困窮した世帯を対象に実施した緊急小口資金等特例貸付。
今なお経済的な困窮から抜け出すことができず、償還が困難な借受人に対して必要な支援を行うフォローアップ支援の取組みをすすめています。
このたび、8か所の区市町村社協の取組みのヒアリングを行いました。それぞれの取組みを全8回にかけてご紹介していきます。
第2回目は、中野区社協の事例です。
取組み実施に至る背景
2022年に中野区在住の借受人データを抽出し、そのデータをもとに分析を行ったところ、半数以上が若者世帯であり、特定の地域に集中していることも見えてきた。そのような背景から、生活実態を把握する目的もあり、若者世帯へのアプローチを行うこととなった。
また、限られたマンパワーの中でフォローアップ支援を推進するために、まずは償還の意思を示されて
いる償還実績のある世帯を対象とした。
取組みの流れ
対象者の抽出
□ 20 代~30 代の若者世帯
□ 償還期限を迎えた緊急小口資金の債権がある
□ 一度でも償還履歴がある
→535 人(世帯)
●対象者の抽出は地区連携システムを活用!
➀ 中野区内の全世帯を抽出(Excel)
➁「 生年月日」「滞納回数」「償還残額」等でソートし、対象者を抽出
フロー
●若者世帯の他、前年度に引き続き高齢者世帯、337 世帯へのアプローチ
→高齢者世帯の特徴として手紙を読まない方が多いため、昨年送付した方へも手紙を送付。また、ぎりぎりの生活の中で無理して返済している方が多いことも特徴で、中には食費を削って返済している方もいるため、つながった方へは生活状況を聞き取り、積極的に救済制度等を案内している。
取組みの工夫
食糧支援の活用
生活困窮者に対する支援については中長期的な関わりが必要となるため、入り口として食糧支援は有効だと認識している。生活困窮の課題解決に向けては本人が支援を受ける意思を持つことも必要ではあるが、そこに至るまでの時間については一人ひとり違うため、それまでの関係性を保つことも大切だと感じている。
また、通常の訪問では会えない方でも食糧を持って訪問することで会える可能性もあがり、食糧支援をきっかけに相談につながることもある。食糧支援については、生活困窮の根本的な解決にはならないが、相談者に関わるきっかけや関わり続けるためのツールとして活用している。
システムの活用
特例貸付に関する記録は全て kintone で管理。書類の送付履歴や対応内容を登録
自立相談支援機関との連携
少しでも世帯の自立につながるよう、自立相談支援機関での就労相談や家計相談等を活用する前提で相
談に乗っている。そういった中で、特例貸付も含め、自立相談支援機関につないだ方の経過と支援方針
の確認等を目的に、月に1回情報共有の機会を設けている。当初は社協からのケース共有がほとんどで
あったが、徐々に自立相談支援機関からのケース共有も増えてきた。
また、昨年度からは双方の制度理解や顔の見える関係の構築を目的に、年度初めに職員同士の顔合わせ
の機会も設けて連携強化を図っている 。
まとめ
生活困窮者支援にあたっては、複合的かつ多様な課題を抱えている相談者が多く、社協だけでは対応できないこともあるため、今後も関係機関、特に自立相談支援機関とは密に連携し、一体的な支援を継続していきたい。 また、特例貸付をきっかけにこれまで表に出てこなかった生活課題 も見えてきたため、社協として地域で必要な資源の創出や仕組みも検討していきたいと考えている。特例貸付の業務についても、免除・猶予の手続きだけで終わってしまっては、社協で行う意味がなくなってしまう。社協だけでは対応が難しいケースも社協が橋渡し役となり、 継続したフォローアップ支援をすすめていきたい。
福祉広報2026年3月号記事「東京都における緊急小口資金等特例貸付フォローアップ支援事業の“今” ~一人ひとりが安心して暮らせる地域社会の実現をめざして~」はこちら










