板橋区社会福祉協議会
緊急小口資金等特例貸付フォローアップ支援事業~子育て世帯と高齢者世帯へのフォローアップ~
NEW 掲載日:2026年5月18日

あらまし

  • 新型コロナウイルス感染症の影響で減収や失業等により生活が困窮した世帯を対象に実施した緊急小口資金等特例貸付。
    今なお経済的な困窮から抜け出すことができず、償還が困難な借受人に対して必要な支援を行うフォローアップ支援の取組みをすすめています。
    このたび、8か所の区市町村社協の取組みのヒアリングを行いました。それぞれの取組みを全8回にかけてご紹介していきます。
    第3回目は、板橋区社協の事例です。

 

子育て世帯へのアプローチ

実施に至った経緯

昨年度、特例貸付の償還状況により受験生チャレンジや本則の教育支援資金の申請が難航し、貸付ができなかった世帯が一定程度あった。1~2 回程度の滞納であれば解消できるかもしれないが、長期滞納になってしまっている場合はそう簡単に解消はできず、申請のタイミングを逃してしまい制度利用を諦めなければならなくなってしまう。また、このような世帯では借受人も昼夜問わず生活のために働いており、督促の通知や免除・猶予等の案内も正確にキャッチアップできていないのではないかと思われた。学齢期の子どもがいる世帯の滞納者を早めに救済することで、悪循環を断ち切るきっかけにすることができると考え、実施に至った。

 

取組み

●対象者の選定               

 

 

 

 

 

 

借受人の年齢:65歳以下   
複数世帯
滞納回数6回以上

対象世帯
1363世帯

→子育て世帯のみの抽出ではないが、子育て世帯はこの中に含まれているので問題ない。また、複数世帯であれば社協の意見書提出による猶予の収入要件にも合致しやすくなり、困窮している場合には猶予申請ができる可能性が高くなるため、より多くの支援につながるのではないかと考えた。

 

●実施の流れ

返済に関する相談の案内を発送(発送物は3点)
(1)「こんな郵便物は届いていませんか?」
  □ 東社協からの郵便物(黄色い封筒、督促状、残額のお知らせ)をビジュアルで見せる。
  □ 返済に困っている場合には、同封の生活状況調査票を返送するように案内。
(2)「生活状況調査票」
  □ オリジナルの調査票。内容は簡単なものにしている。
(3)「しごと相談面接会※1のチラシ」
※1 板橋区社会福祉法人施設等連絡会や板橋区社協のアクティブシニア就業支援センター等が主催している。

 

 

→不達93件

2026 年1 月末時点で100 件の回答あり
この他、案内を見ての入電や来所も30 件あり

 

架電や来所面談にて支援開始!
調査票で都合の良い時間帯を聞き出しているので、架電時の反応も良い

 

アプローチの結果

職員に欠員が出てしまったため、令和7年度後半からの取組み開始になってしまった。そのため最終的な結果は出ていないが対象者のうち約1割が何らかの支援や救済制度につながっている。特例貸付債権についてのみ相談にのるのではなく生活全般について伺い、場合によっては他機関へつなぐことも意識している。子育て世帯は生活のために昼夜働いている方も多く、社協の業務時間内のみで対応することは限界であるため、今後は夜間相談会等も検討したい。

 

高齢者世帯へのアプローチ

実施に至った経緯

他社協との情報交換で、高齢者の方々は手続きが面倒だったり内容が理解できなかったりして放ってしまっている方が一定数いることは、共通の認識だった。悪意を持って放置(滞納)しているのでなければ、こちらからアプローチをすることで、償還や免除につながるのではないかと考え、実施に至った。

 

取組み

●対象者の選定

・借受人の年齢:66歳以上、滞納回数6回以上

対象世帯
406世帯

 

●実施の流れ

返済に関する相談の案内を発送(発送物は3点)
(1)「こんな郵便物は届いていませんか?」
  □ 東社協からの郵便物(黄色い封筒、督促状、残額のお知らせ)をビジュアルで見せる。
  □ 返済に困っている場合には、同封の生活状況調査票を返送するように案内。
(2)「生活状況調査票」
  □ オリジナルの調査票。内容は簡単なものにしている。
(3)「アクティブシニア就業支援センター※2のチラシ 」
※2 板橋区社協が運営する無料職業紹介。

 

 

→不達3件

2026 年1 月末時点で42 件の回答あり
この他、案内を見ての入電や来所も8 件あり

 

架電や来所面談にて支援開始!
調査票で都合の良い時間帯を聞き出しているので、架電時の反応も良い

 

アプローチの結果

高齢者世帯は子育て世帯と比べて時間にはある程度余裕があるため反応は良い。案内発送の1割を超える世帯と何らかの接触ができている。特例貸付を借り入れしていることを忘れているわけではなく、償還開始時に体調を崩していたことで償還が滞っていたり、 家賃等の固定費が高額であったり、負債の返済に追われ生活が困窮している等の理由で放置していた方が目立った。丁寧に生活状況をヒアリングし制度について案内をすることで、猶予・免除等につながっている。また、借受人の中には律儀な方も多く「払います」と償還を希望する方もいる。 高齢者の場合、 借受人が生計中心者ではなくなっているケースも多く、収入面で社協の意見書提出による猶予につながりやすいという印象を持った。

 

相談案内票・・・借受人はこの案内票を持って自立相談支援機関へ

 

まとめ

「つなぐ」という意識をもってフォローアップ支援に当たった。単に特例貸付について免除や猶予をするだけではなく、借受人の生活状況や困っている根本原因を把握することで、関係機関へつなげるようになる。子育て世帯には借受人だけではなく世帯員それぞれに課題や悩みがあるケースがあり、他の世代にはない必要な支援があると考えている。高齢者の場合は、社会参加という視点から就労なのかボランティアなのか居場所なのかを判断したうえで、関係機関へつなぐようにしている。

 

また、特例貸付の猶予等を社協で対応した場合でも、課題によっては自立相談支援機関へつなぐことも多く、相談案内票を活用しながらスムーズにつながるように支援した。

 

今回対象とした世帯へのアプローチは単年度で成果を得ることは簡単ではないと実感した。次年度以降は、督促等の通知発送時期を考慮したり、借受人の属性に合わせた案内方法を検討したりすることで支援を継続したい。フォローアップ支援を通して地域生活課題を受け止め、その解決につなげるという視点でこれからも取り組んでいきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相談案内票・・・借受人はこの案内票を持って自立相談支援機関へ

 

福祉広報2026年3月号記事「東京都における緊急小口資金等特例貸付フォローアップ支援事業の“今” ~一人ひとりが安心して暮らせる地域社会の実現をめざして~」はこちら

 

 

取材先
名称
板橋区社会福祉協議会
タグ
関連特設ページ