自立相談支援機関との連携に向けた積極的なアプローチ
背景
市の自立相談支援機関について長年同じ方が担当であり連携しながら支援を行っていたが、フォロー
アップ支援が始まるタイミングで異動となってしまい、連携がとりづらくなってしまった。特例貸付の
フォローアップにおいて、社協での対応が難しい方については自立相談支援機関に対応いただくケース
も多くあるため、連携を図るためのアプローチが必要であった。
●そのために取り組んだこと
・制度説明や要綱の確認
まずは制度概要といった基本的な説明から行った。自立相談支援機関からは「支援を行う根拠を示
してほしい」といった要望もあったため、要綱や厚労省からの事務連絡通知等、自立相談支援機関
がフォローアップ支援に取り組む根拠となるものを都度示して、一緒に確認をしながら説明をして
いった。理解をいただくまで何度も説明の場を設け、徐々に関係性を築いていった。
・会議開催
月に1回会議を開催。償還猶予等の申請方法や府中市社協としての支援の流れ、双方でつないだケー
スに関するその後の情報共有など、様々な情報交換を行う場となっている。今では定期的な会議だ
けではなく、適宜情報共有も行っている。
・独自の引継ぎシートの活用
自立相談支援機関へ借受人の情報を共有する際には、独自の引継ぎシートを活用している。
相談時に聞き取った「貸付日や金額」「返済状況」「社協と関わるようになった経緯」「困りごとの内容」のほか、「自立相談支援機関につなげる理由」や「府中市社協の見立て」も必ず一緒に記載している。
様式は、お互いのニーズと運用のしやすさを検討しながら、自立相談支援機関と共に作成した。
相談時に聞き取った内容をもとに
社協の見立てを必ず記載しています
アプローチの結果
はじめは連携を図るのに苦労したが、継続的に関わり続けていくことで関係性も構築していくことがで
きて、事例検討や借受人に対する支援の方向性に関する協議などができるようになっていった。今では
自立相談支援機関の理解もすすみ「今までやってこなかった部分についてこれからすすめていきたいの
で教えてほしい」と連絡をいただけた。自立相談支援機関の相談員からも積極的に社協へ状況確認をし
てくれるようになり、今後の支援方針を一緒に考えていけるようにもなった。 特例貸付の話だけでなく、自立相談支援機関の事業についても教えてもらったり、フードパントリーなど地域活動の説明を行ったりなどの連携によって顔の見える関係になり、お互いの役割を知ることができた。
ファイナンシャルプランナーと連携した取組み
●背景
特例貸付に関するフォローアップにおいて、家計相談といった堅い内容は利用者のニーズに合わず、興
味を持ってもらえるようなアプローチが必要であった。そんな中、簡単でわかりやすく、お得になるよ
うな情報発信やセミナーが開催できないかという思いから、すでに関わりのあった金融ジェロントロ
ジー関連の団体(高齢者の経済活動や資産管理に詳しい団体)に協力を依頼。この取組みが相談の入り
口となり、借受人とつながるきっかけとすることや、相談者の老後など将来を通して困らないよう、人
生を見直すきっかけを作りたいという思いもあり依頼をした。
●フォローアップ通信の発行(コラム掲載と一緒に)
年間4 回の発行を計画。対象は府中市在住の借受人(免除者も含む)。相談いただくきっかけ、セミナー開催に向けた種まきとなるよう、社協に相談してもらった事例や相談会の案内、過去に実施したアンケートの結果報告などの他、お金に関する情報のコラムを掲載。このコラムを上述の金融ジェロントロジー関連の団体に作成いただいている。
初回の6月は2227通を発送。それ以降は隔月で約2000通を発送している。約200世帯が転居済みであることが判明した他、送ったことで新たな相談につながったケースもあり、様々な効果が出ている。
フォローアップ通信1
●セミナー+個別相談会の開催
特例貸付に特化した内容ではなく、「人生とお金のリアル体験」をテーマに、お金に関するカードゲーム形式で開催。参加へのハードルを下げられるような企画とした。特例貸付を利用された方の中には他の債権があったり、家計に課題のある方もいるため、総合的な相談のきっかけとなることを目的とした。あわせて個別相談も別日に実施。
セミナー参加者は、猶予中の方、判定免除になった方、猶予後免除になった方、償還完了された方などさまざまで、中には借受人だけではなく「自身の子どもが今後一人暮らしをするのでお金の流れを知ってもらいたい」とのことから、借受人の家族の参加もあった。
フォローアップ通信2
まとめ
特例貸付がきっかけとなって「困窮しているがどこにもつながれていない人」「情報が行き届いていない人」が多くいることが可視化された。このような、特例貸付により府中市社協の存在を始めて知った人たちとつながることができたのは良かったと感じている。
フォローアップ支援においても、当初は猶予は仕方ないとしても簡単に免除はしてほしくないと思っていたが、「きちんと返したかったが返せず申し訳ない」と窓口にきた償還免除者が、別の形で社会貢献をしたいとボランティア関係の社協の事業につながったケースもあり、返してもらうだけが仕事ではないし、免除にするだけが支援ではないことに気付き、府中市社協の役割とは何か?を改めて考える契機になった。
福祉広報2026年3月号記事「東京都における緊急小口資金等特例貸付フォローアップ支援事業の“今” ~一人ひとりが安心して暮らせる地域社会の実現をめざして~」はこちら















