
社会福祉法人立川市社会福祉協議会
総合相談支援課 地域あんしんセンター係
係長 鉢嶺 由紀子さん
池谷 宥さん
内藤 健太さん
柏﨑 琴衣さん
地域あんしんセンターたちかわの皆さん
ネットワークを駆使した権利擁護体制
「地域あんしんセンターたちかわ」は、地域福祉権利擁護事業(日常生活自立支援事業のこと。以下、地権事業)における福祉サービスの利用援助、日常的金銭管理、書類等の預かりサービスの相談のほか、成年後見制度の手続きに関する相談や成年後見人になる方への支援などを行っています。
当センターに相談に来る方々は、年代も幅広く、病歴や背景もさまざまです。本人や関係機関等から相談を受け付けた際、本人を中心に本人と関わるすべての方とともに意思決定支援を遂行し、権利擁護の必要性を見立てます。当センターによる介入後、サービスの契約にあたってしっかりとアセスメントを行いますが、その中で、本人の生活をより安心させる必要がある場合は、本人・関係者とサービス調整を行います。さらに本人のこれまでの生き方や好きな事などもヒアリングしながら、サービス以外の地域での参加の機会につなげることもあります。大切なのは、本人が安定した生活基盤のもと、病気や障害があってもやりたいことができ、地域の資源とどうつながっていけるかという視点を持つことだと考えています。また、サービスを利用するだけでなく、地域を支える側にもなりえるという視点も大切にしています。そのため、地権事業に関することに限らず幅広い視点が必要です。
当センターは地権事業と成年後見制度の2チームに分かれていますが、知識や情報の共有は日常的に行っています。また、さまざまな会議や研修に参加して、地域のインフォーマルな資源を知る機会を積極的に設けています。さまざまな部署を経験した職員がいるため、部署としてより広い視野で考えられることも当センターの強みです。
その人の可能性をとことん探る
例えば、地権事業を利用している車椅子ユーザーの 60代の男性は、依存症があり入退院を繰り返していましたが、生活を整えたいという希望をもった本人と、専門員・生活支援員が話を重ねる中で、その方は子どもが好きだということが分かりました。そこで、社協のボランティアセンターの職員と当センターの専門員が市内の保育園へ相談したところ、登園する園児と保護者に向けた挨拶ボランティアとして受け入れていただきました。朝が早い分、生活リズムを整えなくてはいけないので、結果的に依存症状が軽減し、現在もボランティア活動を元気に続けています。また、園児の車椅子ユーザーへの理解もすすみ、園児と本人がお互いを見守り合う関係性にまで発展するなど、当初は想定しなかったことがみられるようになってきました。
また、地権事業を利用しながらB型作業所に通う30代の女性から、趣味で作ったピアスをどこかで売ってみたいと相談をいただき、立川市にある地域福祉アンテナショップの一角を借りて販売に至ったことも。作業所だけではない地域とのつながりができました。

地権事業のサービスをハブに社協内のいろいろな部署や人がつながり、結果的に本人らしく過ごせるように地域のインフォーマルな資源に結びつけられたのは、社協にとって強みを発揮できたケースでした。また、病気や障害があっても「支える側・支えられる側」ではなく、「互いに支えあう関係」が構築できるという視点が改めて大切であることを実感しました。
生活支援員との信頼関係も重要
生活支援員との信頼関係も欠かせません。先に紹介したケースでは、本人の好きなことややってみたいことを引き出すために、生活支援員が世間話をしながら本人との関係性をつくっていきました。専門員から生活支援員に積極的に声掛けをして訪問時の様子を聞いたり、生活支援員からの記録などをしっかりチェックしたりしながら、本人、専門員、そして生活支援員の3者間で信頼関係を築けるように心がけています。信頼関係があれば、例えば「そういえば…」といった生活支援員から見た小さな気づきを専門員に教えてくれますし、本人も「生活支援員さんが言うならやってみようかな」と思う方も多いようで、その方の可能性がさらに広がっていくことにつながっていくんだと思っています。何より生活支援員はその地域に住む「一生活者」でもあります。地域の情報もいろいろと知っていて、生活者としての視点でのアドバイスができるのは生活支援員の強みです。
今後は、生活支援員に「強み」を感じてもらい、生活を支援するだけではなく地域の資源にどうつなげていくかという視点を、生活支援員にも持っていただけるような研修の実施やしくみづくりをすすめていきたいと考えています。
一人ひとりを受け止めてもらう地域をめざして
病気や障害があっても生きる場所を地域につくっていくお手伝いができるのが、社協らしさ。地域で埋もれがちな人たちに対して、その方が歩んできた人生や気持ちを肯定し、地域とどのようにつなげていくか視野を広く持ちながら今後もサポートしてきたいです。先に述べた事例のような出来事が、この地域で当たり前になればいいなと思います。福祉が特別なことではなく、病気や障害があっても地域に住む一人の人間として、助け合う。“住民相互” の関係性が醸成されていくことが「やわらかな地域社会」なのではないでしょうか。
KEY ESSENCE by interviewer
- 1. 部署を超えた垣根のない連携
- 2. 本人、専門員、生活支援員との相互の信頼関係
- 3.「支える側・支えられる側」ではなく、「互いに支えあう関係」へ









