社会福祉法人聡香会 きたしば保育園 管理栄養士 リーダー 三宅 晴子さん
食を通じて、子どもたちの興味や関心をさらに広げていきたい
掲載日:2025年5月8日
2025年5月号 福祉のおしごと通信

社会福祉法人聡香会 きたしば保育園

管理栄養士  リーダー 三宅 晴子さん

 

あらまし

  • 保育園の管理栄養士として働く三宅晴子さん。特に力を入れているという食育や、リーダーとして心がけていることなどを伺いました。

 

調理師から管理栄養士へシフトチェンジ

小さい頃から食べることが大好きで、将来は食に関わる仕事がしたいと思い、調理科のある高校へ進学しました。調理師免許に向けた勉強をするうちに、食事をつくるだけでなく、おいしく健康的な食事を提案してみたいと思い、管理栄養士を志すようになりました。管理栄養士の資格が取れる大学にすすみ、管理栄養士の資格を取得後、大学病院から委託されている給食会社に就職しました。病床数が1,000床ほどある病院に配属され、病院食だけでも1回に600食、100種類以上ととにかく膨大な量と種類の給食を担当し、目が回るほど忙しい職場でしたが、栄養バランスや患者さんの健康状態を考えた病院食の基礎をここでとことん学びました。しかし、病院には高齢者が多く、食生活を改善することへの難しさを感じ始め、次第に、“正しい食”について、病気になるもっと手前の幼少期からアプローチしたいと思うようになり、会社を退職。2021年からきたしば保育園の管理栄養士として働いています。

 

おいしく、楽しく、食を学んでもらうために

保育園の給食づくりで心がけていることは、「見た目」「切り方」「味わい」「彩り」、そして「季節感」です。給食の献立づくりだけではなく、厨房に入って調理や配膳、後片付けなどもしています。園の方針である「モンテッソーリ教育※」に基づいた食育にも力を入れています。幼児クラスでは、食べ物に含まれる栄養素を3つに色分けした「3色食品群」について学習する時間を毎日設け、その日食べた食材を子どもたちで色分けします。給食室の前にはボードが張ってあり、子どもがいつでも好きな時に学べる環境にしています。また、月1回は日本の郷土料理を提供し、メニューは園児にくじ引きで選んでもらうしくみとし、おいしく、楽しく、食を学べる機会をつくっています。こうした企画は、管理栄養士だけでなく職員全員でアイデアを出し合い、子どもたちからアドバイスをもらうことも。楽しそうな企画があったら「やってみよう!」とすぐに活動できる風土もこの園ならではだと思います。


「誤嚥リスクの防止」や「アレルギー対応」も重要な仕事です。特に乳児クラスでは、食材のサイズは細心の注意を図り、一人ひとりの食べ方や食事の進み具合、状態をじっくり観察し、切り方や献立に反映するようにしています。

 

※イタリアの医師であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法。子どもの自主性と自己教育力を発揮できるように、子どもの発達や興味を正しく理解して環境を整えることを重視している。

 

食育のさらなる推進をめざして

管理栄養士としてやりがいを感じるのは、子どもたちが笑顔で「おいしかった!」と言ってくれた時です。また、食育の取組みをすることで子どもたち自ら「今日は緑が多かった」と給食の振り返りをする姿を見たり、保護者から「家でごはんを残さなくなりました」という言葉をいただいたりした時には、やって良かったと心から思います。


まだまだ自分自身、頼りないなと感じることも多いのですが、園長や保育士さんをはじめとした皆さんが親身になって悩み事を聞いてくれたり、意見を求めてくれたりするので、管理栄養士として認めていただいているんだと実感しています。保育園の管理栄養士の仕事というと閉鎖的なイメージがあるかもしれませんが、常にコミュニケーションが活発な明るい職場です。そんな雰囲気だからこそ、甘えることなく「食育や給食活動はみんなの協力があってこそ成り立っている」と自覚して、管理栄養士のリーダーとして、日ごろからコミュニケーションを取りながら柔軟に行動していけたらと思っています。


食に興味をもってくれる子どもがさらに増えるように、「子どもたちからも、職員からもオープンな給食室」をモットーに、これからも活動していきたいです。

取材先
名称
社会福祉法人聡香会 きたしば保育園 管理栄養士 リーダー 三宅 晴子さん
住所
東京都西東京市芝久保町2-14-14
概要
社会福祉法人聡香会 きたしば保育園
https://kitashiba.net/
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