あらまし
- 東社協では、「令和7~11(2025~2029)年度 東社協中期計画」を策定しました。新たな中期計画(以下、今期計画)は、 東社協が業種別部会連絡協議会の会員をはじめとする幅広い関係者からなるネットワーク組織であることをより一層重視し、関係者とともに‟協働”で取り組む5か年の計画です。
長く続いたコロナ禍や国際情勢悪化等の影響により、社会経済の状況はもちろん、人々の暮らしや価値観、福祉や地域をとりまく状況は目まぐるしく変化しています。また、地域においては、人と人とのつながりが弱まり、社会的孤立がより一層深刻化するとともに、地域生活課題は複雑化・複合化しています。こうした課題は、専門分化した分野ごとの制度や、一つの組織・団体だけでは対応が難しく、多様な主体がつながり“協働”で取り組むことが、これまで以上に重要になっています。
中期計画の全体像と“協働”ですすめる「取組みの柱」
今期計画では、 東社協のビジョン「東京らしい多様性を活かした地域共生社会」の下、5つの「めざす地域社会の姿」を再整理しました。さまざまな人が暮らす東京ならではの「多様な価値観」「多様な主体」「多様な地域性」を活かしながら、「個別支援」と「地域づくり」を双方向で循環させ、誰もが自分らしく暮らし・支え合う地域共生社会をめざします。
(図 今期計画全体像)
そして、ビジョン実現に向け、この先5年の“協働”ですすめる「取組みの柱」として定めたものが、以下の5本です。柱ごとにそれぞれ3つの「取組み項目」を位置づけています(※以下、柱ごとの説明内の①~③を参照)。
取組みの柱 Ⅰ つながり、支え合う地域づくり
世代にかかわらず、社会的な孤立がひろがる中、多様な主体による「①地域や社会とのゆるやかなつながりづくり」に取り組み、誰もが役割や出番を持ち、つながりを実感できる地域づくりをすすめます。特に社会福祉法人の本来機能や民生児童委員の同じ地域で暮らす生活者としての視点など、それぞれが持つ「②専門性や役割を活かした地域生活課題への対応」を重視した取組みをひろげます。また、地域を支えてきた活動のなり手不足が深刻化する中、多様な参加のあり方を提案しながら、「地域のために何かしたい」という一人ひとりの人や企業などの「③思いが参加につながる取組みの推進」を図ります。
取組みの柱 Ⅱ 包括的支援と協働のしくみづくり
分野別の縦割りの制度では対応が困難な狭間の問題や、複合的な課題などが顕在化しています。「①包括的・重層的な支援体制の構築」に向け、ライフステージなどによって支援が分断されないよう、領域や主体を超えて相互に連携して取り組みます。また、東京でこれまで推進してきた社会福祉法人による区市町村ごとの地域ネットワークを核として、「②多様な主体による協働のプラットフォームづくり」をすすめるとともに、「③地域づくりをすすめるコーディネーターの養成・活動の推進」に引き続き取り組みます。
取組みの柱 Ⅲ 暮らしの安心づくり
「①暮らしのセーフティネット支援」として、社会的に孤立しがちで生活困窮状態にある方への相談支援の他、身近な親族による支援を得られない方の身元保証や死後の葬儀等の不安に応えていく取組み、医療的ケア児や強度行動障害のある方など、現行では支援が十分とはいえない方々の地域生活支援に取り組みます。また、災害が頻発していることをふまえ、平時からの防災・減災の取組みも含めた「②災害にも強い福祉と多様なネットワークづくり」や、「③その人らしさを支える権利擁護支援」として、本人・当事者の声を聴き、その声を反映した実践や、意思決定支援や意思表明支援などに取り組みます。
取組みの柱 Ⅳ 福祉で働く人と支える組織づくり
「①多様な福祉人材の確保・育成・定着支援」として、特に、対人援助を中核とする専門性向上のためのスーパービジョン体制の構築のほか、福祉専門職の地域と協働する地域力強化のための研修、福祉業界からの離職を防ぐための「②働きやすさと誇りの持てる職場づくり」、将来の福祉人材や地域を支える市民を育てるための福祉教育や職場体験など、「③次世代に向けた福祉の人づくり」に取り組みます。
取組みの柱 Ⅴ 福祉の可視化と包摂に向けた共感づくり
「①福祉課題や福祉実践の可視化・情報発信」を通じて、多様な主体の主体形成とともに、社会福祉法人や施設・事業所の本来業務や地域生活課題への取組みに対する理解を促します。また、互いを知らないがゆえの偏見や排除を生まないよう、さまざまな「②出会いと対話による理解と共感の促進」を図り、包摂をめざした取組みをひろげます。若者の孤立の問題など、社会や時代の変化に応じて新たに生まれてくる課題を共有し、行政との相互理解も深めながら「③未来に向けた協働やソーシャルアクション」を創り出していきます。
各年度での「重点取組み事項」の設定と可視化が課題
ビジョン型の計画を実効力あるものとしていくために、各年度の事業計画において、「取組みの柱」にもとづく「重点取組み事項」をいかに具体的に設定し、PDCAサイクルを回していけるのかが問われます。令和7年度の事業計画では、業種別部会からの位置づけ等も含め、28本の取組みが設定されました。柱ごとにお互いの取組みを知り、領域を超えた新たな“協働”やネットワークづくりにつなげるとともに、それらを可視化し、広く発信していきます。 計画の推進には、幅広い関係者がそれぞれの強みを活かしながら、“協働”の第一歩をともに踏み出していくことが必要です。「東京らしい多様性を活かした地域共生社会」をめざして—。
※新たな中期計画の詳細は、 東社協HPからご覧ください。取組みの柱に関連する会員の声や、ヒアリング記録もお読みいただけます。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/hojin/3kanen/index.html
※令和7年度事業計画に位置づけた「重点取組み事項」は、こちらからご覧ください。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/hojin/disclosure/documents/2025keikaku-jyuutenn.pdf