馬渕 正彦さん
美しい歩き方は“心と体を解放する”
NEW 掲載日:2025年11月7日
2025年11月号 くらし今ひと

馬渕 正彦さん(愛称:マブー)
学生時代は陸上競技部に所属し、高校では関東大会、

大学ではインカレ(二部)に出場。
40年間、公立中学校の保健体育科教師として勤め、

現在も教育に携わりながら、調布市での歩き方教室を中心に

「歩き方」の指導を行っている。

 

あらまし

  • 陸上競技選手の経験を生かし、歩くことの大切さを実感してきた馬渕さん。歩き方の指導に至るまでのこと、なぜ歩くことを伝え始めたのか、お話を伺いました。

 

二人の恩師との出会いで「歩くこと」の大切さを知る

子どもの頃から足が速い方で、中学校の入学式の日に陸上競技部への入部を決めました。その頃はスポーツといえば野球という時代でしたが、走ることに魅力を感じていました。陸上競技部は大きな大会で上位に入るほどではありませんでしたが、中三のとき、陸上競技を専門とする先生が異動されてきて、わずか半年の間にみんなが急激に成長し、区の大会で総合優勝したのです。そしてリレーでは県大会で5位に。先生の指導はマジックのようでした。


高校でも陸上競技を継続し、「中学の顧問の先生のようになりたい」と思い、保健体育科の教師をめざしました。そして大学の陸上競技部ではコーチから「よい走り方のためにはよい歩き方が先!」と言われ、生まれて初めて歩き方の指導を受けました。その効果もあってインカレ(二部)で入賞。歩くことの大切さを実感しました。


中学校の教員になってからは部活で陸上競技の指導に邁進。よい記録を出させてあげるために時間を忘れて指導をしました。歩いている時のフォームが良くないのに走るのは速いという人に会ったことはありません。歩き方だけでなく立っている姿勢、目線が大切。その指導を何十年も続けてきました。多くの競技会で部員たちの実績は確実に上がりました。

 

得意分野で人の役に立ちたい

教員生活が終わりに近づいたころ、「自分は社会であまり役に立っていなかったかも」とふと思いました。これからは得意分野で社会貢献をしたいと思い始めた時に、タイミング良く何人かの知り合いから「歩き方を教えてほしい」という依頼があり、指導を開始しました。


それから約10年間、子どもを含め多くの人に指導をしてきました。自分もゆったりとした気持ちになりたいと思いながら、月に1回、調布市で中高年向けに歩き方教室を始めて今に至ります。歩き方の指導は10mあれば可能だし、何より勝負がないのがいいと思っています(笑)。歩き方教室に来られる方には、美しいフォームを身に付けていただけるよう繰り返し指導をしています。参加者用の教科書として、私がこの7月に発刊した「マブーの歩き方教室」の利用も効果を上げています。美しいフォームが身につくことで姿勢が良くなり、筋肉強化にもつながります。長い距離も苦にならないし、人から褒められるし、いいことばかりです。

 

美しいフォームで歩くことは人生を豊かにする

美しいフォームで歩くと、体がほぐれ、リラックスします。私は肩が凝ったら、散歩して治します。人間にとって歩くことは根源的な動き、それ自体を楽しむことで“心と体を解放する”=リラックスと考えています。日本人は他国に比べて美しい歩き方の人が少ない。だから美しいフォームで歩ける人をもっと育てたいです。


4年前に調布の歩き方教室に初めて来られた当時80歳の方は、高齢者にありがちな、前屈みで歩いていました。教室に通い、美しいフォームを身に付けたことで姿勢が良くなり、84歳になった今、自ら走ることに挑戦するまでになりました。その方は「まだまだやれる」と自信をつけられています。


「いくつになっても、美しいフォームで歩けば人生を豊かにする」という思いで、これからも歩き方の大切さ(美しいフォーム)を伝えていきたいです。

取材先
名称
馬渕 正彦さん
概要
調布の歩き方教室
https://www.a-nest.net/walkroom
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