あらまし
- 東社協中期計画の取組みの柱Ⅱ「包括的支援の体制づくり」に基づき、女性支援部会により開催された「都内女性支援関係者意見交換会」についてお伝えします。
都内女性自立支援施設5施設からなる「女性支援部会」は、売春防止法に基づく「保護・更生」を目的とした公的な女性支援の在り方を変えるべく、長年に渡り当事者に寄り添う支援と支援現場からのソーシャルアクションを重ねてきました。その声が「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(以下、「女性支援法」)」の成立につながり、2024年4月に施行されています。「困難な問題を抱える女性」は、女性であることにより、性暴力や性的虐待、性的搾取などの性的な被害を受け、身体的・心理的外傷や、偏見・差別等の経験に起因する孤立・生きづらさ等を抱えています。当事者の侵害された人権を回復し、その人らしい日常生活を取り戻すための包括的で切れ目ない支援が必要です。
今回、5回目となる「都内女性支援関係者意見交換会」は、東京都女性相談支援センターや区市の女性相談支援員、民間の支援団体の参加を得て、法施行3年後の見直しに向け、改めて支援現場から現状や課題を振り返り、発信していく場として2025年11月に開催されました。
当事者を真ん中に、垣根を超えた連携を
まず、東京都女性相談支援センターから、2024年秋に開始したSNS相談が、相談できる場所やシェルター等を知らなかった女性の支援につながる入り口となっている状況や、一時保護所を経ずに女性自立支援施設へ直接入所できる「プレ入所方式(※1)」の実績等が報告されました。
次に区市の女性相談支援員から、基本計画の策定状況や支援調整会議について共有がありました。女性支援法では、区市町村に支援の責務があることがはじめて規定されています。報告では法施行による成果として、守秘義務がかかる個別ケースの支援調整会議が、庁内をはじめ医療や住まいなどの多様な関係機関との連携による支援や、本人が参加することで自己決定を尊重した支援につながっていることが挙げられました。そして、今後さらに連携を確かなものとするため、地域福祉計画や重層的支援体制整備事業の実施計画に「困難を抱える女性の支援」を盛り込む必要性が提起されました。加えて、支援を必要とする女性の多くは自らを責め相談をためらう傾向にあり、「窓口につながっているケースは氷山の一角」「アウトリーチを通して当事者とつながる民間団体との連携が欠かせない」と、官民協働の必要性が示されました。
また、女性自立支援施設いずみ寮の横田千代子さんは、「女性の福祉」「人権の尊重や擁護」といった新たな基本理念のもと、「困難な問題を抱える女性」の定義に「性的な被害」という言葉が入ったことの意義を強調しました。その上で「私たちは女性支援法を実践に活かすことができているのか」を改めて問いかけ、当事者を真ん中にした垣根を超えた連携や、民間団体との協働をさらにすすめていくことの重要性を訴えました。
早期につながり、被害からの回復を中長期に支える
さらに横田さんは、「施設における通所型支援モデル事業(※2)」を紹介しながら、被害を未然に防ぐために、地域の中で女性の居場所づくりに取り組む必要性や、中長期に被害からの回復支援ができる女性自立支援施設の活用を呼びかけました。
東京都の若年被害女性等支援事業に取り組む民間の4団体からは、繁華街でのアウトリーチ活動や、ゆるやかで安心できる居場所やシェルターの提供など、民間性を活かした取組みの共有や、改めて加害者を生み出す社会のありようなどが指摘されました。また、当事者女性の若年化がすすんでいること、自傷や希死念慮のある人が多く、「家や安定した収入がない。自力での住居確保や就労は困難だが、規則のあるシェルターには入りたくない。家族や親族も頼れない。精神疾患や軽度の知的障害を抱えている」など課題が複合的な状態にあることが示され、「既存の支援の枠組みでは収まらず、新たな連携が急務」「民間団体は当事者とつながり困りごとを整理するが、中長期的な安心・安全の確保には公的な支援の力が必要」と、さらなる協働が呼びかけられました。
その後の熱心な意見交換とともに、参加者アンケートでは、「つながりの中で支援していくことの大切さを感じた」「民間団体の話が聞けて有意義な時間だった」という声が多く寄せられました。
女性支援部会では、法施行3年後の見直しを見据え、これからも官民による連携を深め、新たな協働により、困難を抱える女性一人ひとりの「生きる」を支えます。
※1 女性自立支援施設を利用しやすくするため、施設見学・一時保護委託を経て本入所するしくみ。2022年に試行、現在は都の基本計画に位置づけられている。
※2 女性自立支援施設において、女性の多様な居場所を確保し、自立支援を図る事業。都内では2025年度は2施設で実施、2026年度にはさらに2施設での実施を予定。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/bukai/josei.html







