
maggie’s tokyo
癒しの空間で不安に寄り添う
日本では生涯で2人に1人ががんに罹患するといわれ、医療技術や治療薬の発展により「不治の病」からがんと「ともに生きる」時代に突入しています。認定NPO法人「マギーズ東京」は、がん経験者やその家族、友人など、がんに影響を受けた人たちのサポートを行う施設です。看護師や公認心理士など専門職が常駐し、さまざまな不安や悩みを無料で相談できたり、お茶を飲んでゆっくりくつろいだりと、思い思いに過ごせます。
センター長の秋山正子さんは、1990年代から訪問看護でがん患者の療養に携わってきました。その間、がん医療の中心が入院治療から外来治療へシフトしていく中で、在宅での治療や療養生活についてなど、悩みや困り事を相談できず、ギリギリのところで訪問看護につながる患者をたくさん見てきたといいます。医療者としてこれでいいのだろうかと考えていた時に、ある学会でイギリスに本部がある「マギーズセンター」の存在を知った秋山さん。「誰でも気軽に利用できて、専門職が親身になって話を聞き、相談者が前へすすむためのサポートを行っているという理念に共感し、日本にもつくりたいと考えました」と語ります。2015年にNPOを立ち上げ、2016年10月にマギーズ東京がオープンしました。

マギーズ東京の特徴のひとつが「建築」と「環境」。自分らしさを取り戻すためには、居心地のいい環境は大切な要素だという本部のコンセプトどおり、著名な建築デザイナーが担当し、ここでは床や壁、天井など温かみのある木材をふんだんに使用。どの部屋にも窓があり、可動式で個室になったり、開放感のある空間にもなるように設計しています。大きなダイニングテーブルや色とりどりのソファとイスがあり、渡り廊下には緑豊かな坪庭が広がり、来訪した人たちの心を癒す場所です。秋山さんは「この場所に近い新木場はかつて材木店が多くあった場所。できるだけ木材を使うようにして木がもつ温かみを前面に出しました。そこは日本独自かもしれません」と話します。

そばで話を聞いてくれる友人のような存在
相談を受け付けるのは、キャンサーサポートスペシャリスト(以下、CSS) と呼ばれる専門職です。そのほか、ミートアンドグリート(以下、M&G)と呼ばれる、おもてなしを担当するボランティアもいます。がん種や病期は問わず予約なしで利用でき、相談時間の制限もありません。CSSは白衣や名札を使用せず、友人のように相談者の横に座り、親身になって話を聞きます。相談者が話し出すまでむやみに聞き出そうとせず、少しずつ対話を重ねていき、その人が持っている“自分の力” を引き出していきます。秋山さんは「家にいるとなかなか本音が出せないというご夫婦がいらっしゃったときは、まず別々にお話をお聞きして、CSSが間に入りながら最後には一緒に話して帰られたことがありました。病院でも家でもない、ひと息つける第二の家の重要性を実感しています」と話します。
グループプログラムは、すべて無料で参加できます。「こころのリラクセーション」「脱毛・頭皮ケア」などイギリスの本部で行っているプログラムをもとに、さまざまなバリエーションを用意。秋山さんは「その場にいた当事者同士が体験談や思いを吐き出して、分かち合う場です。たとえば、似たような境遇の方の話を聞くうち、病気への考え方や療養への向き合い方が変わる方もいらっしゃいました。当事者同士のつながりが前向きな力を引き出すエッセンスになっています」と話します。
全国へサポートの輪を広げたい
オープンして10年が経ち、次の10年に向けて新しい体制を検討しているマギーズ東京。秋山さんは「この辺りは国立がんセンター中央病院やがん研有明病院があり、全国から患者さんがいらっしゃいます。私たちのニーズも全国にあると考えていて、質を担保しながら各地にマギーズを広めていくのも使命だと思っています」と話します。
マギーズ東京はこれからも、がんに影響を受けた人たちの不安やとまどいに寄り添い続けます。
https://maggiestokyo.org/about








