公益社団法人 東京社会福祉士会
ソーシャルワークの専門職として社会課題に取り組む
掲載日:2025年8月22日
令和7~11(2025~2029)年度東社協中期計画P39~43

これまでソーシャルワークが行き届かなかった方への支援

本会では、罪を犯した過去のある人の立ち直り支援にも力を入れています。そのため、地域での「立ち直りを支える地域支援ネットワークづくり事業部」の支部活動を広げたいと、2023年度から、本会からの費用助成やノウハウ提供のもと、希望した地区会を本会の支部として位置づけて活動することを始めています。3か年計画で10か所での立ち上げをめざしており、2023年度で5支部、2024年9月時点では7支部に広がっています。本会の支部として位置付けることにより、地域の行政機関や社会福祉法人等との契約の締結などが可能となるため、連携・協働をすすめ、地域の実情に応じた活動に取り組んでいけるものと考えています。社会福祉士はさまざまな関係機関との間に入って“つなぐ役割”として関わることが多いことから、この立ち直り支援の地域ネットワークにおける実践を通じ、蓄積したノウハウをさらに他の地域にも広げていければと考えています。

 

また、2023年度は、地域における再犯防止の啓発事業にも取り組みました。「再犯防止」といいますが、本会の観点としては、再犯防止のための活動というより、“ソーシャルワークが行き届かなかった”ということをふまえて取り組む必要があると考え、活動しています。罪を犯した方の背景はさまざまです。立ち直り支援にも、もっと早い段階から取り組む必要があります。触法状態に陥ってしまうのは、「ソーシャルワークが届いていないことで、彼らが自分らしく暮らしていけない状態があるから」という考えに立ち、地域における当事者の居場所づくりなどへの支援を推し進めていきたいと考えています。このような司法ソーシャルワークの取組みについては、東京から全国に広まりつつあります。

 

このほか、本会の取組みとして、2022年の児童福祉法改正により新設された「子どもの意思表明等支援事業」について、複数の自治体から事業を受託し、意見聴取を行う意見表明等支援員の派遣や養成研修の実施なども行っています。

 

本会は公益社団法人として活動をしており、一部事業以外に行政からの補助金が交付されているわけではなく、本会から地域に根差した活動に取り組もうと思っても、残念ながら運営および活動資金は潤沢とは言えません。また、会員の多くは、役員(理事)も含め、それぞれの業務や実践活動を行いながら私的な時間を出し合って活動しているため、あまり大きな取組みはできません。職能団体への加入が社会福祉法で義務付けられているわけではないため、組織率が低いことも大きな悩みであり課題です。今後の目標として「社会福祉士の国家資格をもつ人は職能団体である社会福祉士会に入るのが基本」という文化になるようにしたいと考えます。会員が増え、安定した財源が確保できればより多くの事業を運営することが可能となります。また、ソーシャルワークの知識・技術の専門性の向上と倫理性の維持・向上のため、「社会福祉士の倫理綱領・行動規範」を全会員へ浸透させ、理解を深め、それぞれのソーシャルワーク実践に落とし込んでいくことに力を入れていきたいと考えています。この「社会福祉士の倫理綱領・行動規範」は、世界のソーシャルワーカー専門職のグローバル定義として採択されたことを受け、日本ソーシャルワーカー連盟が「ソーシャルワーカーの倫理綱領」を改定し、(公社)日本社会福祉士会においても「社会福祉士の倫理綱領」として採択、さらにこの倫理綱領を行動レベルに具体化したものが「社会福祉士の行動規範」となります。ソーシャルワークの専門職の職能団体として、地域の住民の皆様や各種団体等の皆様に、社会福祉士の専門性や果たしている役割について広く周知し、社会福祉士の活動に対する理解を深めていただけるような取組みをすすめていくことも私たちの大切な役割だと考えています。

 

左から)事務局長の田村さん、会長の岡野さん、理事の新堀さん

 

ヒアリング実施概要

  • 日 程:2024年9月20日(金)   場 所:公益社団法人 東京社会福祉士会
    お話を伺った方:会長   岡野 範子さん 
            理事   新堀 季之さん 
            事務局長 田村 孝憲さん

※本稿は、令和7~11(2025~2029)年度東社協中期計画策定にあたってお話を伺った際のヒアリング記録です。

取材先
名称
公益社団法人 東京社会福祉士会
概要
公益社団法人 東京社会福祉士会
https://www.tokyo-csw.org/
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