あらまし
- 近年、多くの方に広く情報を届けられるさまざまな動画共有サービス等を通じた発信がすすんでおり、福祉分野でも活用が広がっています。特に最近は、新型コロナの影響により対面での情報発信が制限される中で、効果的な代替ツールとしても使用される機会が増加しています。東社協でも、さまざまな事業や活動を通じて多くの動画を作成し、公開しています。今号では、その中でも福祉の仕事の魅力や地域での社会福祉法人の取組みを伝える動画を紹介します。
在宅介護のプロに密着し、仕事へのこだわりや仕事の現場のリアルを発信~東京都介護保険居宅事業者連絡会「こだわり! 介護職人」
東京都介護保険居宅事業者連絡会は、介護保険法に基づく訪問介護、通所介護、居宅介護支援事業所等により構成される、東社協の業種別部会連絡協議会の一つです。現在、約350事業所が会員です。令和2、3年度は新型コロナの感染拡大の影響を受け、主にオンラインを活用した情報交換会等の活動を行っています。
そうした中、運営委員からの発案で、在宅介護サービスの魅力や実際を伝える動画作成と、YouTubeでの公開に取り組んでいます。介護や福祉の仕事の内容を伝える動画や、法人・事業所の求人につながる動画は、世の中に多数公開されています。コロナ禍で直接対面して伝えることが難しい中で、その数は増加傾向と考えられます。しかし在宅介護サービスで働く方を取り上げた動画が多くないことも、今回の制作の後押しとなりました。2年度から制作を始め、3年度に入り順次公開しています。
「こだわり! 介護職人」と銘打ったこのシリーズでは、在宅介護のプロに密着し、その仕事に対するこだわりを伝えています。テレビのドキュメント番組のように、在宅介護職の「リアル」、現場の実際を発信する内容です。
3年4月に公開した第1弾では「新人ヘルパー編」と題し、東久留米市のヘルパーステーションアルゴのヘルパー、増田好汰さんに密着しています。利用者の自宅を訪問し、身体介護や掃除、買い物等の生活援助、安否確認のための短時間の訪問を行う様子などを取材しています。第2弾は9月に公開した「ケアマネジャー編」です。NPO法人江戸川在宅支援グループの理事長で、ケアマネジャーの大越利依子さんに密着しています。長く介護の仕事に携わる中で感じる、在宅介護の仕事の醍醐味や魅力が語られています。両動画とも、利用者と接する際の思いや大切にしていること、人柄、現場の雰囲気が画面から伝わる内容となっています。
公開中の動画は、東京都福祉人材センターが実施する介護職員資格取得支援事業においても、仕事の実際を伝えるものとして活用されています。今年度中にさらに2本の動画を制作予定で、在宅介護の仕事に少しでも興味がある方など、多くの方の視聴を期待しています。東京都介護保険居宅事業者連絡会では、今後も在宅介護サービスの普及啓発に向け、運営委員会での検討を重ねていく予定です。
◆東京都居宅介護事業者連絡会公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCNvDVBzMNwkcngIgByqGBJg
コロナ禍でも地域課題の解決に向けて取り組む姿を届ける~東京都地域公益活動推進協議会「お昼ご飯お届け事業(東村山市内社会福祉法人連絡会)」
東京都地域公益活動推進協議会(以下、推進協)は、地域における福祉課題の解決に向け、社会福祉法人が連携して地域公益活動に取り組むことを目的に、東社協内に設置されています。推進協では、特に広報にも力を入れ、都内の社会福祉法人および区市町村ネットワークによる地域公益活動を事例化し、ホームページへの掲載、事例集の作成等を行ってきました。
これまでの事例化は、都内社会福祉法人や社協等に対して、地域公益活動のノウハウを共有することが主な目的でした。しかし、より広く多くの方々に地域公益活動を分かりやすく伝え、福祉系学生やマスコミ等にも知ってもらうため、そして、区市町村域の社会福祉法人の連携による取組みの重要性を伝えるため、東村山市内社会福祉法人連絡会が実施した「お昼ご飯お届け事業」の紹介動画を3年10月に作成しました。
東村山市内社会福祉法人連絡会には、市内28法人が参加しています。2年5月にコロナ禍により学校が休校になり、お昼ご飯に困っている家庭に複数の法人が連携してお弁当を届ける事業を始めました。3年度についても、お弁当を必要としている家庭があるため継続することにしました。今年度は、市内の法人も新型コロナの感染拡大の影響を受ける中、社会福祉法人村山苑の村山荘とふじみ保育園において、お弁当用に20食分の昼食を追加で調理し、お弁当を希望した家庭に東村山市社協の職員が配達しています。配達時には、お弁当を届けるだけではなく、子どもに声かけするなど、家庭の様子を見守っています。
動画は、社協職員が実際にお弁当を届ける場面に密着し、大切にしていることなどを伝えるとともに、社会福祉法人の思いが伝わるものとなっています。コロナ禍により、施設が地域との関わりを築きにくい状況にある中、地域の社会福祉法人の連携により、地域課題の解決に向け、取り組めている事業の一つです。
今年度中に、調布市や足立区での取組み事例の動画を順次公開する予定です。推進協では、今後も地域公益活動の事例化、動画作成などに取り組んでいきます。
◆東京都地域公益活動推進協議会公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCr66wSuvkPJlRksekc-aE8A
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東社協企画担当では、中期計画の重点事業の一つとして、平成29年度より「福祉の魅力可視化プロジェクト」を実施しています。福祉施設が自ら魅力を発信していくことを重視し、中でも「中学生の職場体験」等の機会がより効果的なものとなるよう、検討をすすめてきました。
2年度には、中学生の職場体験前後で活用できる冊子『見てみよう、聞いてみよう 未来を拓く福祉のしごと』を作成しました。さまざまな分野の福祉施設等で働く方の思いが分かるインタビューや、触れる機会の少ない仕事の一日を紹介する内容などを掲載しています。新型コロナの影響による職場体験機会の減少を少しでも補えるよう、冊子とあわせて動画も作成し、特設サイトを開設しました。
今年度も冊子と動画の内容をより充実させるための撮影をすすめており、年度末までに順次公開予定です。本冊子および動画が、中学生等の次世代が福祉に関心を持つきっかけとなり、職場体験受入れ施設での、オリエンテーションから振り返りまでの充実したカリキュラム実施の一助となることを願っています。
◆福祉の魅力可視化プロジェクト特設サイト
https://www.tcsw.tvac.or.jp/fukushi/
https://www.tcsw.tvac.or.jp/