あらまし
- 福祉作業所の利用者が製作したバッグや雑貨、小物類などを専門に扱うオンラインのセレクトショップを運営する、NPO法人SOU代表理事の友田由香さんにお話を伺いました。
NPO法人SOU
代表理事 友田由香さん
息子の存在が活動の原点
今の活動の原点には息子の存在があると思います。団体名のSOUの由来も息子の名前の一部が取り入れられています。息子は自閉症で、高等部まで特別支援学校に通っていました。卒業後は福祉作業所で、木工製品を製作しています。私自身は精神障害者の福祉作業所で、週2日ほど技術指導員として働いています。洋服やバッグ、雑貨のデザインや縫製をしていた前職の経験を活かして、革製品を利用者と一緒に製作しています。
福祉作業所には、息子が幼い頃から時々見学に行っていましたが、当時は暗い印象を抱いていました。しかし、実際に福祉作業所で働き、障害のある方たちと接すると、それまで抱いていた印象とは違った場所だと感じました。利用者の製作物一つひとつが個性的で趣があります。中には職人のような方もいます。そういった製品を地域の人にもっと知ってもらいたいと思い、仲間とセレクトショップを立ち上げることにしました。
自分の惚れ込んだ製品を選ぶ
法人立ち上げの準備のために製品を探していた平成27年秋頃、精神障害者のバレーボール大会に参加する機会があり、そこで出店されていた福祉作業所の製品を見た時「廃材を製品にしたい」という団体のコンセプトやクオリティ、デザインのすべてに圧倒されました。同時に、このようなすばらしい製品の存在は「自分たちの活動がうまくいくのではないか」との想いを強くさせました。個人的にその製品に惹かれた部分もありますが、その福祉作業所との出会いは活動を始める後押しとなる大きな出来事になりました。
現在は約20か所の福祉作業所と連携しており、ペンケースや小物入れ、トートバッグなど200点近くの製品があります。販売しているほとんどの製品は私が各地を回って実際に見たり、連絡を取ったりしながら選んでいます。自分自身が惚れ込んだ製品でないとお客様に良さが伝わらないと考えているので、製品は好みで選ぶことが多いです。製品の製作過程で、うまくつくれなかったと感じると「やりたくない」と言う方もいらっしゃいます。そういった時に、福祉作業所の職員が励まし、気持ちに寄り添いながら完成させた製品が届くと嬉しいです。
お客様の声が自信につながる
SOUを設立して1年は立川商工会議所のチャレンジショップとして実店舗も運営していましたが、現在はウェブショップ、イベントでの製品販売を中心に、ワークショップも定期的に開催しています。毎回の荷物の移動は大変ですが、製品を手に取ったお客様が喜んでいる姿を見ると活動を続けて良かったと思います。少しずつですが、「障害のある方が製作しているから買う」のではなく、「製品が良いから買う」といった意識に変わってきていると感じます。
他方で、製作のクオリティと価格にズレがあると感じることもあります。私自身は製品自体に価値があり、価格を上げても良いと思っていますが、売れ残った時の在庫を心配して安い価格で販売する福祉作業所もあります。職員の方たちも多忙でなかなか販売に手が回らない部分もありますが、SOUでは製品が売れた時のお客様の声を、職員にお伝えするようにしています。何度も繰り返し伝えることで、職員の自信につながり、製品への考え方も変わってくるのかなと思います。
得意なことで障害のある方をつないでいく
製品を買った方やワークショップに立ち寄ったりした方が製品のファンになってくれたら良いなと思います。そうした方々がSNSで紹介したり、友人に教えたり、ファンになった方からの口コミで、障害のある方とのつながりが少しでも多くなれば気持ちに寄り添える社会に近づけると感じています。自分の得意なことを通じて、地域と障害のある方たちを結べる活動をこれからも続けていきたいです。
実際に販売している製品
https://soufactory.jp/npo-sou-about/