(社福)東京都社会福祉協議会
「地域づくりをすすめるコーディネーター連絡会」を開催しました
掲載日:2018年11月8日
2018年11月号 東社協発

東社協地域福祉部地域福祉担当では、区市町村社協に配置された「地域福祉コーディネーター」や「生活支援コーディネーター」など、地域生活課題への対応や地域づくりなどの共通する役割をもつコーディネーター(以下、地域づくりをすすめるコーディネーター)を対象に、29年度から連絡会を開催しています。9月25日に開催した今年度第1回目の連絡会では、ルーテル学院大学名誉教授の和田敏明さんの進行のもと、多摩市、国立市、西東京市の3社協から、それぞれ特徴的な取組みについて、実践報告をいただきました。

 

多摩市社協の森田一光さんからは、多摩市のコミュニティエリア(概ね中学校区)全10エリアで展開する「地域福祉推進委員会(以下、委員会)」について、立ち上げ準備から現在に至る経過についてお話がありました。この委員会は、地域の住民や専門機関などの団体同士が横につながり、地域生活課題の共有と解決に向けて協働するプラットフォームです。その具体的な取組みとして、「高齢者の買い物支援」という地域課題の共有をきっかけに、聖ヶ丘地区で始まった都立多摩桜の丘学園(特別支援学校)の生徒とスーパーマーケットとの連携による「さくら運送」や、食に力を入れている特別養護老人ホーム愛生苑と委員会が連携し、ホームの食事を地域に運んで「高齢者食事会」を行っている百草団地地区の事例紹介がありました。

 

続いて、国立市社協の奥村真以子さんより、住民が地域課題を話し合い、地域のために活動する緩やかなネットワーク「くにたちの西がいちばん!プロジェクト」の取組み報告がありました。また、コミュニティソーシャルワーカーとして相談を受ける、ひきこもりの方やその家族の課題を「地域の課題」と捉え、NPO法人と連携して「ひきこもり・不登校家族会」を立ち上げ、重点的に取組んでいることについても発表がありました。

 

西東京市社協の大賀晴江さんからは、地域の課題を発見し、地域福祉コーディネーターと共に解決のために活動する市民「ほっとネット推進員」の養成やその活動について報告がありました。体系的な養成研修の開催や日頃の活動を通じた声かけから、現在358人の市民が「ほっとネット推進員」に登録しています。西東京市社協では、地域福祉コーディネーターが「なんでも相談」を通じて個別の課題を把握し、ほっとネット推進員とともに課題解決や社会資源の創出にあたっています。ほっとネット推進員の地域での気づきや主体的な居場所づくりの取組みが、個別支援と地域支援を連動させた地域づくりにつながっています。

 

今回の連絡会は、「地域住民や関係者が協議・協働するための基盤や場づくり」「地域の力を高めていくための地域人材の養成」、それぞれの活動を通じた「コーディネーターの配置効果や地域力向上の見える化」を柱に情報交換を行いました。進行の和田さんからは、コーディネーターの活動の効果を示す際には、報告書を作成したり、住民等に直接報告する機会などを通じて「コーディネーターの活動を見える化」をすることに加え、コーディネーターの活動を通じて促進された、住民の課題意識や住民同士のつながりの強まり、地域における多様な取組みの増加など、「『地域の福祉力』の見える化」も意識することが重要というコメントがありました。また、地域づくりには時間がかかるが一歩ずつ、地に足をつけて歩みをすすめてほしいとメッセージをいただきました。

 

 

今年度はこの連絡会(全体会)のほか、日本大学文理学部教授の諏訪徹さんをアドバイザーに迎え、募集に応じたメンバーと、年間を通じて「地域づくりをすすめるコーディネーター推進プロジェクト」を実施しています。テーマに基づき、各地区におけるコーディネーターの取組み報告と情報交換を行い、コーディネーターならではの活動のあり方や視点について、より具体的に検討しています。

 

8月末現在、都内にある44の社協に地域づくりをすすめるコーディネーターが配置され、さまざまな活動を展開しています。住民や関係者とともに、制度の枠組みや対象分野などにとらわれず、柔軟かつダイナミックに活動することで、より誰もがいきいきと暮らしやすい地域につながっていくことをめざしています。

 

 

 

 

取材先
名称
(社福)東京都社会福祉協議会
概要
(社福)東京都社会福祉協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/
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