茨城県つくば市
広域避難における情報のコーディネート~本当に支援を必要とする避難者へ~
掲載日:2018年11月22日
茨城県つくば市/ 平成30年11月現在

ポイント

  • (1)他市の被災者を7か所の一般避難所と5か所の福祉避難所で受入れた。
  • (2) 「平成27年9月関東・東北豪雨」災害では、逃げ遅れて布団の上で亡くなった方がいなかった。それだけ普段から地域コミュニティができていた。
  • (3) 本当に支援を必要とする人へ支援の手が行き届くようにするため、つくば市では福祉避難所を公表していない。
  • (4)広域避難においては、情報をコーディネートする力が必要。

 

あらまし

  • 「平成27年9月関東・東北豪雨」災害から3年。茨城県常総市に隣接するつくば市では、土砂災害の避難準備情報が4,457世帯・11,203名、浸水被害の避難勧告が1,059世帯・2,891名に出されました。そのような状況の中、つくば市では常総市民の受入れも行いました。当時夏場ということを考慮して、エアコン設備があり、各10名を受入れ可能な施設を選びました。最終的には、7か所の一般避難所と5か所の福祉避難所を開設しました。福祉避難所は平成26年につくば市と協定を結んだ民間福祉施設に開設しました。つくば市保健福祉部社会福祉課係長の木本昌昭さんは「この協定は、元来他市の住民を受け入れることは考えていなかったが、協議して対応してもらった」と話します。市長公室危機管理課課長補佐の鬼塚宏一さんは、「他市の住民を受け入れるにあたってかかる経費は災害救助法の適用になることを事前に内閣府へ確認し、県からの指示が出る前から準備をしていた」と振り返ります。鬼塚さんは「今回の災害は逃げ遅れて布団の上で亡くなった方がいないことが大きな特徴。しっかりとコミュニティが築かれていたからこその結果」と話します。
  • つくば市では「平成27年9月関東・東北豪雨」災害前から福祉避難所を公表していません。これは、本当に支援を必要とする人へ支援の手が行き届くようにするためです。そのため、一般避難所から福祉避難所へ移行する際は、混乱を防ぐため、保健師による聞き取り調査などを実施し、つくば市が判断してから行うようにしています。
  • 「普段から自宅の耐震対策などを徹底してくださいと言うようにしている。『地震で潰れない家、水害で浸水しない家をつくるように』と地域住民の防災意識向上をめざしている」と鬼塚さんは指摘します。
  • 広域避難の特徴は、被災状況によっては、市外に出たらライフラインが活きていることがあるということです。鬼塚さんは「災害時における広域的な取組みを実践するにあたって、県は情報をコーディネートする役割として調整役を担い、市町村へ情報を提供してほしい。情報のコーディネートが大切」と話します。

 

取材先
名称
茨城県つくば市
概要
つくば市
http://www.city.tsukuba.lg.jp/
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