あらまし
- 障害のある子どもの今と未来をサポートする「わかみやクラブ」をみ~つけた!
障害のある中高生の放課後の居場所
中野区新江古田に、障害のある中高生が放課後の時間を過ごす「わかみやクラブ」があります。区内の特別支援学校2校と、近隣の区立中学校特別支援学級に通う生徒が利用しています。元療育センターだった施設を利用し、庭では野菜を栽培し食育にも力をいれています。「わかみやクラブが友達と過ごす楽しい場所であってほしい」と、わかみやクラブ副理事長で主任指導員の小林隆一さんは話します。
しっかり褒めて、しっかり叱る
わかみやクラブは、障害をもつ中高生の放課後の居場所を切実に必要とする保護者の活動からはじまりました。保護者からは、「楽しい場所であってほしい」という思いとともに、「生活の基本的なことができるように」「人に迷惑をかけることをしたら、ちゃんと叱ってほしい」という声があります。就労中の保護者が多く、子どもの大半は、小学生の間は地域の学童保育を利用し、中学1年生から高校3年生までの6年間をわかみやクラブで過ごします。
スタッフは、短期、長期、社会にでたときなど、複数の段階で子どもの目標をたて、”今と未来を見据えた支援“をしています。
”今“周りの理解ある人たちの中では許されたとしても、”この先“社会に出たときにどうかという視点を大切にしています。例えば、将来ヘルパー等の手伝いを必要とするであろう子どもには、「手伝いを受けながら人と一緒に行動する」、「身辺整理は自分でできるようにする」等。一般就労を目指せる子どもへは、「挨拶をきちんとする」「時間を守る」「集団で活動する」等を意識して関わります。
保護者や学校と一緒に支える
保護者は、設立当初からとても協力的なパートナーです。年に数回の面接や、毎日の連絡ノートで子どもの状況を共有しています。学校とは、不定期ですが、行ったり来たりしながら子どもの状況を共有しています。学校との連携で生まれたプログラムもあります。月1回土曜日に、コンビニエンスストアに自分の好きなお昼ご飯を買いに行く「買い物体験」です。学校からは、お金の勉強、買い物の練習が期待されています。「次は○○弁当を買うんだ」と楽しみにしている様子は保護者の連絡ノートからも知ることができます。
生活力を身につける
「その子が持っている能力が、そのまま生活力ではない」と小林さんは強調します。スタッフは、子ども自身が考えて成長していけるよう、過剰な支援は行わないよう心がけています。大切にしているのは、生活面でのトレーニング、そして生活適応力と集団意識です。生活面でのトレーニングは、将来の生活に関わることです。この時期を逃すと習得するのが難しいことに取組みます。例えば2年かけてトイレの自立ができた子どもや、車いすに頼りがちだったのが、車いすを使わないで通えるようになった子どももいます。
生活適応力では、いつもと違うことに柔軟に対応できることを意図してさまざまなイベントを企画しています。月1回は公共機関を利用して遠出をしたり、区内の学童に通う小学生や、地域の成人障害者との交流、駅伝などの地域イベントに参加しています。
集団を意識する
毎日の活動では、随所に集団を意識する活動が盛り込まれています。全体活動を行う際は、これから何をして遊ぶかみんなで話し合います。いす取りゲームやドッジボール、夏季は水遊びが人気です。小林さんは集団意識について、「友達の名前を言えるようになると、その子どもが変わる。人を意識し、集団である意識が高まる」と言います。
子どもの未来につなげる
小林さんは「高校を卒業する時には、次の生活の場へスムーズに移行できるようにしたい。そのためにも、6年間である程度の力を身につけてほしい」と話します。今後も、子どもの育ちを第一に考えるわかみやクラブの活動に、期待が寄せられます。
プロフィール
- NPO法人 わかみやクラブ
- ●2002年5月保護者を中心に放課後支援を開始。2003年11月中野区障害児地域生活支援事業わかみやクラブとして事業開始。2008年特定非営利活動法人の認証を受ける。
●職員10名、利用者(中高生31名)
●平日利用時間 下校時間~18時、土曜・長期休暇 9時~18時
土曜日プラグラムでは、月2回調理、月1回買い物体験、月1回公共機関を使った遠出(高尾山、横浜中華街など)をしている
https://www.wakamiyaclub.or.jp/