はじめまして。「伝える→伝わり合う広報プロジェクト」の担当者です。
いま、私たち東京都社会福祉協議会(通称:東社協)では、3か年計画を通じて広報の見直しを行っています。一年目の取組みとして各部署からなるメンバーで「伝える→伝わり合う広報プロジェクト」を設置し、東社協の広報をより良くするための検討を行っています。しかしながら、この一大プロジェクトの担当となった私は、「広報ってそもそも何だろう」というところからのスタートです。
そんな広報の知識ゼロの担当者が、七転び八起きしながら気づいたこと、学んだこと、失敗談を共有し、社協で広報を担当する方、施設・事業所で広報を担当する方、同じような境遇にいる方とつながるきっかけになればと思い、投稿をはじめます。
誰にも届かない広報はもうゴメンだ!
私は2021年から、東社協広報誌「福祉広報」の担当をしています。初めて広報誌づくりに携わり、「こんなに時間と手間をかけて作っているんだ」という驚きと同時に、「作るからには、読んでもらえる紙面づくりをしたいけれど、文字だらけで白黒の広報誌じゃ手に取ってもらえないんじゃないか」と思うようになりました。さらに「福祉広報」はなんと約半世紀にもわたり姿を変えずにいることも分かりました。
「これはリニューアルをして、全編カラーの映える広報誌にするチャンスではないか」「とはいえ、半世紀もリニューアルをしていないのは何か深い訳があるに違いない、まずは毎月きちんと発行することに専念しよう」「いやいや、でも今のままじゃ何かいけない気がする」「でも入社2年目の私が言っていいことだろうか」とひとり悶々と考えた末、ぽろっとその思いを担当内で話したところ、私の想像を遥かに超え、東社協の広報全体を見直す機会が必要ではないかという話になってしまったのです。予想以上の大きな話に及び腰になる私……。
東社協全体を見ると、Facebook、Instagram、Twitter、YouTubeなどSNSによる広報が当たり前になっている世の中の波にのり、多くの部署で各事業の担当者があの手この手で広報をしています。ただ、バズることはもちろん、反応が返ってくることもなかなかありません。
「ターゲットやそれに見合ったツールが整理されていないのでは」「更新されることなく塩漬けになっているものもある」「見た目が今っぽくない」「そもそも東社協内の広報のガイドラインがないから、取組み状況もばらばらになりがち」など、少し話し合いするだけでも次々と課題がでてきました。うすうす気づいてはいましたが、パンドラの箱を開けたような気分です。でも見て見ぬふりをするわけにはいきません。この状況を何とかするには、3か年の計画で腰を据えてやるしかないと、このプロジェクトがスタートしました。
「広報は木」
3か年計画の初年度には、東社協がどのようなスタンスで広報活動に取り組むのか、その共通理解をつくろうということを目標に据えました。とはいえ、何から手を付けていけばよいか、進む方向は合っているのか、文字通り五里霧中の私たちが見当違いの方向にすすんでいかないようにするためには、第三者の目が必要です。そんな時、「広報に精通し、NPOや市民活動分野での知識や経験も豊富な吉田知津子さんという方がいる」という話を聞きました。「吉田さんに相談したらきっとこのどうにかしたいという気持ちを分かってくれるのではないか」という希望と、修正に修正を重ねた渾身のプレゼン資料を持って、吉田さんに会うため浦和へと向かいました。
ひとしきり私たちの話を聞いた吉田さんは、しばらく考えてから「広報は木と一緒なんだよ」と優しく話し始めました。広報誌やTwitter、ホームページといったツールは、木でいうところの「実」や「花」にあたる部分で、「根っこ」には、東社協としてどうありたいのか、どう見られたいかといった存在意義があること、「根っこ」が分かれば、どんな「実」や「花」をつけたら良いかが自ずと分かってくることを教えてくれたのです。
これまでどんな企画を立てようか、どんなレイアウトや色使い、フォントだと視覚的にも伝わりやすいかといった見栄えのことにすっかり目が向いていた私にとってはハッとする瞬間でした。この出会いから、吉田さんには広報の基本をはじめ、たくさんのことを教えてもらうことになるのです。
「すでに『広報』は始まっている」
吉田さんを心強いメンバーにお迎えでき、合理化、効率化、技術的な改善ではなく、まさしく「根っこ」から、広報のマインドを変えることをめざしていこうとなりました。そして、「組織内へのお知らせから『広報』は始まっている」という吉田さんの助言のもと、「福祉の理解を促進するための情報発信力の強化」という厳めしい事業名を、プロジェクトの雰囲気が伝わるような名前に磨き上げました。
同じ部署の職員とともに、「これまで『戦略的な広報』という言葉を使ってきたけど『戦う』という姿勢ではないという意味で『戦わない広報プロジェクト」はどうだろうか」、「ポジティブな言葉を使った方がよいのでは。『一緒に育てる広報の時間プロジェクト』はどうだろう」などと悩み、行き詰まると吉田さんに助言をもらい、最終的に決まった名前は「伝える→伝わり合う広報プロジェクト」です。これまで「何となく前年踏襲していたかも」という広報を、これからはしっかり伝える、さらには伝わり合う双方向の広報をめざしていこうという決意を込めています。
この連載は広報の実践の記録でもあります。次回は「もっと早く知りたかった!」「これを知らずに広報していたなんて」のエピソードをお伝えします。今後もぜひのぞきに来てください。
ご意見、ご感想お待ちしております。
https://forms.gle/wmoWe1SytvQ22pRX6