地域勉強会の取組みと意義
救護施設とは、生活保護法に基づいて設置される保護施設です。身体や精神に障害があり、経済面を含めて日常生活を送るのが困難な人が、健康で安心して生活することができるように、必要なサービスを提供しています。東京都内の全10施設で構成される 東社協救護部会は、以下のような活動をしており、今回はその中の一つ「地域勉強会」の様子をお届けします。
ここでいう「地域支援」とは、利用者の目標や希望の聞き取りをした上で、アパートでの一人暮らしに向けた訓練を行ったり、訓練後の一人暮らしをサポートしたりと、地域での安定した生活のための継続した支援のことをいいます。
各救護施設の地域支援担当者が集まる地域勉強会では、各施設での地域支援事例を共有し、ほかの施設の職員から「うちの施設ではこうしている」「前に同じような事例があったときはこのように対応した」といった情報交換をしています。地域勉強会の代表を務める村山荘の小野崎利紀さんは「施設間で共有することで、支援の多様な選択肢に気づき、利用者支援の幅を広げることにつながると考えています。ここでの気づきを自分の施設に持ち帰り実践することが、利用者支援の質の向上に、さらには救護施設全体の底上げにつながると思います」と話し、日々支援をする中で感じている悩みなどをざっくばらんに話せる場であることを大切にしているそうです。
各施設の地域支援にはそれぞれ特色があります。取組み状況に違いがあっても、自分たちには関係ないと思わず、ほかの施設の取組みや対応の仕方に地域勉強会の場で触れていることで、支援を行う際も比較的スムーズに取り組めることにもつながります。救世軍自省館施設長の髙橋正隆さんは「救護施設には、年齢や障害、希望も多様な人たちが暮らしています。つまり、支援のさまざまな場面で迷うことや難しいことが出てくる。施設同士で情報交換をすることは日々利用者をサポートする職員への支援になると思います。地域勉強会は、イベントを通じた交流とは違った日々のつながりが持てる場になっています」と、地域勉強会の意義を話します。
より良い支援を続けていくために
現在は、「救護施設の見える化」が大きなテーマの一つになっています。地域勉強会では、10施設の特色や、それぞれがどのような地域支援を行っているかなどをまとめた内部向けの冊子を作成。小野崎さんは「今後はこの冊子を、福祉事務所の担当者など、外部の人に渡せるものに仕上げていきたいです。そうすることで、相談者に合いそうな施設がこの冊子で分かったり、ご本人が自分に合った施設を選択できることにつながるといいと考えています」と、思いを話します。副代表を務める優仁ホームの壹岐多加志さんは「制度の話などもしつつ、10施設がお互いの状況を知り、手を取り合っていくことが今後も必要だと思うので、地域勉強会は大切な場だと感じています」と強調します。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/bukai/kyugo.html