地域住民として、一緒に子育てをしたい
NPO法人さんばはうす葛飾は、葛飾区内で活動する助産師らによる団体です。メンバーは皆、葛飾区民でもあります。理事長の井出陽子さんは「助産師である自分でも、子育てでは孤独を感じたことがあります。同じ地域の住民であり、専門職でもある私たちも一緒に、安心して子育てできるよう活動しています」と言います。活動は、メンバーの得意分野を活かしたさまざまな講座や仲間づくりが中心です。ほかにも、区から委託された妊産婦向け学級などの実施や、災害時に弱者になりやすい妊産婦や女性等の状況について防災イベント等で発信し、区の防災計画への働きかけもしています。
3月、井出さんの助産院の一室では、「さんばcafé」として、「発達を促すふれあい遊び」のミニ講座とおしゃべりの場が開かれました。0歳児の親子5組が参加し、副理事の江原美恵子さんが、歌いながら赤ちゃんにぎゅっと触れたり顔をなでたりなど、発達と親子関係を促すふれあい遊びを教え、月齢に応じた発達過程なども伝えます。
講座後は、参加者同士でお茶を飲んで自由におしゃべり。地元のイベント情報を交換したり、悩みを聞いて共感したり、ほっとできるひとときです。江原さんは「ネット上などの誤った情報に惑わされても、正しい情報が伝えられるのは私たちがいる場だからこそ。親子に長く関わり、成長を見守れる地域の活動の良さも感じます」と言います。参加者からも「子どもと外出でき、助産師さんもいて安心できる場所です」などの声が聞かれました。
井出さんは、多くの出会いを振り返り、「病院でのお産で医療者の言動に傷つき、不信感も持つ中で出会い、活動に参加され、徐々に表情が明るくなった方が印象に残っています。今もその親子を見かけると嬉しくなります。世の中では子育ての大変さばかり強調されますが、活動を通じ、子育て期ならではの楽しみを提供したいです」と話します。
自分を大切にすることを伝えたい
さんばはうす葛飾では、今後、性教育講座や学校などでの「命の授業」の実施に、より力を入れていく予定です。「性の知識は、生きる力や自分で人生を選ぶ力をつける“ライフガードスキル”です。自己肯定感が低い子どもが増えていますが、助産師の視点で、子どもも親も、誰もが自分を大切にしてほしいと伝えていきたいです」と井出さんは語ります。
http://www.sanba-house.org/