国立市健康福祉部福祉総務課 (社福)国立市社会福祉協議会
既存の機能を活かしながらCSWを中心とした地域へのアウトリーチ、当事者活動や住民主体の農園を活かした参加支援と地域づくりを展開 ー国立市における重層的支援体制整備事業の取組み
掲載日:2025年1月31日

 

(2)包括的相談支援事業

   国立市では、市が直営の『福祉総合相談ふくふく窓口』をはじめ、社協のCSWによるアウトリーチ、市内各所にある相談窓口など、既存の相談支援機関による包括的相談支援の連携強化が図られています。特に、CSWによる出張相談においては、相談を全面に打ち出すのではなく、「こんにちは」と雑談から始まり、自分のことの相談だけでなく、「こんな方が周りにいるのだけど…」といった地域の方からの情報をキャッチしています。

   日ごろからのつながりや関わりが相談と直結したり、さらには「からふらっと」などの居場所の運営などに関わることで相談につながるといったケースも多くあります。重層事業において、窓口での相談ももちろん大切ですが、地域で活動している方や、支援につなげようとしてくれる方に協力を得ながら、地域の課題を認識してもらうことを大事にしています。

 

(3)多機関協働事業

   国立市では、月に1回の定例開催というかたちで、前半に支援会議、後半に重層的支援会議を開催しています。また、状況に応じて随時開催ができる仕組みになっており、関係する係レベルでも集まれるようにしています。定例開催は決まった構成メンバーで行われますが、随時開催については、ケースによっては法的な問題がある場合の検討など専門性が必要であったり、緊急性が高い場合もあるため、弁護士や保健所、高齢や障害分野の事業所などの機関から、事案に応じて必要なメンバーが集まります。

   支援会議においては、いわゆる本人同意が得られないケースの情報共有や、もともとの機能である生活困窮者の支援会議も行われています。個人情報の制限があるため、守秘義務について要綱だけでなく、会議の冒頭で誓約書を書いていただき、進めるようにしています。支援会議において検討したケースは、8050問題から、経済的困窮、法的な問題を抱えていたり、ホームレスの方の問題など多岐にわたります。随時開催は、この半年で5回程度開催しています。その後は定例開催に移すこともあれば、いったん方針が決まり終了となり、必要があれば再度随時で集まるなどのパターンにも対応しています。本人同意が得られたケースは2件あり、重層的支援会議へ移行しているケースもありますが、同意が得られず支援会議が長く続くことが多くなっています。

 

(4)アウトリーチを通じた継続的支援事業

   社協のCSWがアウトリーチにおいて常に目指していることは、とにかく“つながりつづける”ことです。地域住民の方から様々な情報が得られる場面や、地域の活動に参加する場面でつながり続けることもそうですし、社協ではなく、市の『福祉総合相談ふくふく窓口』などにつながっている方もそうですが、たとえ何かのタイミングで支援が少し途切れてしまうことがあっても、どこかで誰かとつながっている“途切れない支援”を意識しています。

   また、社協では、誰もが安心して暮らせるまちづくりを一緒に進めていくサポーター「くにたち福祉サポーター」の養成を進めています。地区ごとに色々な支援者を育てようと「気づく・つなぐ・つくる・学ぶ・見守る」をキーワードに、サロンや居場所活動を開催したり、地域の中の困りごとや課題を支援につなぐ福祉のサポーターです。これは、かつての社協で養成講座を開催した「福祉委員」と、国立市高齢者支援課で養成講座を開催した「生活支援サポーター」のそれぞれの役割を令和5年度より統合し活動を開始したものです。

   サポーター養成講座を修了すると、晴れて色々な福祉活動をするためのベースを習得したこととなり、好きな地域活動や福祉活動に入っていきます。修了者は高齢の方が多いですが、中には会社をリタイア後にも何か地域で役割を持ちたい方や、親の介護をしながら別のことにもチャレンジしたい方なども含まれています。

   高齢者の方の支援に携わってもらいたいという狙いがありますが、子どもの支援を希望されるなど、支援内容と供給内容がマッチングしない状況があるなど、まだまだ課題もあります。しかし、こうした地域住民も主体となりながら、支援を必要とする方が身近な場所で相談でき、適切につなげてもらえる仕組みづくりに、積極的に取り組んでいます。

 

取材先
名称
国立市健康福祉部福祉総務課 (社福)国立市社会福祉協議会
概要
https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/
https://www.kunitachi-csw.tokyo/
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