出会いの“縁”をつむぐ場所
江戸時代に日光街道の宿場町として栄えた足立区千住地区。ここに、千住のまちづくりに貢献した石出掃部介吉胤の子孫が代々受け継いできた日本家屋があります。この家屋を足立区、東京藝術大学、NPO法人音まち計画の三者共催による市民参加型のアートプロジェクト「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」が、文化サロン「仲町の家」として地域にひらいています。このプロジェクト(PJ)には、大きく5つのPJがあり、「仲町の家」はその1つ。アーティストや地域住民、ふらっと通り掛かった人など、いろいろな人や団体が出会い、交流できる拠点として2018年にオープンしました。
運営を担うNPO法人音まち計画の吉田武司ディレクターは「地名である仲町の『仲』という漢字には、人と人との仲を取り持つという意味があります。プロジェクト名にも「縁」という漢字があり、コンセプトにぴったりだと思い『仲町の家』と名づけました」と話します。
つながりから生まれる新しい文化
「仲町の家」では、アーティストや学生などとともにアートの展覧会や映画上映、コンサートなどのさまざまなプログラムを実施しています。イベントがない日は、縁側で休憩したり、「コンシェルジュ」と呼ばれるスタッフと千住のまちや文化についておしゃべりをしたりなど、自由に過ごすことができる場所です。親子や大学生、高齢者とさまざまな年代が利用していて、リピーターも年々増えているといいます。地域で小さな子を育てる保護者から出た「赤ちゃんと親が気軽に行くことができるイベントがあれば」という声から、子連れで楽しめるコンサートを開催したこともあるそうです。
吉田さんは「ギターが置いてある居間にたまたま立ち寄った方がギターの練習をし始め、そのうちに仲間も増えて、最終的にバンドを組み、「仲町の家」で演奏会を開催したことがありました。ここが接点となって人と人とがつながり、表現の場や可能性が新しく生まれたのを目にし、とても印象的でした」とエピソードを話します。
「仲町の家」で出会ったアーティストや人に影響を受けて、個人や団体からプログラムや企画が持ち込まれることも増えているといいます。この場所に魅力を感じた方たちが、多様な価値観をミックスさせながら表現の場を広げていくことに、プロジェクトとしての手ごたえを感じているといいます。
「仲町の家」が文化サロンとしてオープンして6年。さまざまな個人や団体がここでつながり、プログラムも数多く手掛けてきた中で、まだ出会えていない方々がたくさんいることを感じています。吉田さんは「以前に、地域に出て地域包括支援センターとアートを通じた介護予防に関するプロジェクトを行ったのですが、拠点があっても出会うことのできない人がまだまだいることを実感しました。福祉サービスを利用されている人、福祉に携わる方や団体とも出会える場がつくれないか模索しています」と語ります。
「仲町の家」は、新しい可能性が生まれる文化サロンとして、さらにたくさんの人たちに開かれた場所をめざしています。
イベントの様子
仲町の家
- 場所:足立区千住仲町29-1
オープン:土·日·月·祝日 10:00~17:00 年末年始・夏季休業あり
問合せ先:「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」事務局 電話03-6806-1740 - https://aaa-senju.com/p/10011
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アートアクセスあだち 音まち千住の縁
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