町田市社会福祉法人施設等連絡会
地元法人の連携で実現力を高める ―「やってみたい」から「やろう」へ向かう取組み
掲載日:2017年12月21日
2017年6月号連載

(社福)つるかわ学園 障害者支援施設「つるかわ学園」 施設長 丸山 文弘さん

 

あらまし

  • 町田市内には多くの障害福祉関係の事業所が点在しています。歴史ある法人・施設や新しいNPO法人等が集まる連絡会をつくることで、地域と共生しながら自分たちのできることを模索し、「やってみたい」から「やろう」へとさまざまな活動を実現に向けて一歩一歩前進させている連絡会の取組みをご紹介します。

 

法人の連携で発言力を高める

法人連が発足する以前から、時折市内の施設や法人の職員が意見や情報交換するために集まる場はありました。集っていた方たちは、町田市の福祉づくりに深く関わる立場でもあり、その後、各法人の理事長等の立場になっていきました。集まりの場で「行政が行うことに対して、単独で動くよりも、法人同士の連携がある中で動くほうがよりアピールする力が強くなるのではないか」等の意見が出てきました。そして、その後、理事長同士のつながりも大きく作用し、法人連が発足しました。

 

職位や職務を超えて同じ目線で

法人連の構成委員は、各施設の理事長、施設長、NPOの職員等さまざまな立場の方です。法人連の会長と事務局長は、2年交代で法人が持ち回りにしています。法人連の活動費用は、各施設が法人連費として年2万円を支払った会費によりまかなわれています。委員は、各施設から代表として出ており、施設・事業所での役職にかかわらず同じ立場・同じ目線で意見を交える場となります。職員にとって、定例の場に参加すること自体が勉強にもなっています。

 

法人連では、定例会を2か月に1回奇数月に行い、町田市役所福祉課からも参加してもらい行政説明をしてもらいます。偶数月には定例会の事前準備の事務局の集まりが1回あります。年1回の総会では、年度ごとに法人連の事業計画を作成しています。委員会形式をとっている活動もあり、研修委員会、あんしんネットワーク町田委員会、相談支援委員会等は、近年、より各施設同士の連携を高めるための研修等を工夫し行っています。

 

地域や学生へ向けた独自の取組み

法人連会員には、福祉人材が集まらないという共通の悩みが常にありました。ハローワークや大学の求人サイト、法人・施設のホームページ、東社協福祉人材センター、民間求人サイト等、職員募集にあたってさまざまなツールを活用していましたが、手応えの実感が薄いのが現状でした。それならば、法人連の各施設で取組みができないだろうかと考えました。

 

各施設に学びに来ている大勢の実習生を巻き込んだ企画「クリエイティブin町田―障害者福祉はステキです!」を平成28年から3回開催しています。町田市内の近隣学校(高校や大学)へ声をかけ、チラシの掲示を依頼したり、直接学生に呼びかけを行いました。当日は大学の先生の賛同も得て大学生、一般参加者、関係者約80人の参加がありました。福祉の魅力を伝えるために6施設が自主制作した映像を上映しました。また、都立野津田高校福祉科3人の実習発表の場を設けました。当日関係者として参加した施設職員からは、野津田高校の発表に対し「学生だからこその柔らかい頭による、創意工夫や、学生自身の短い経験から懸命に今の福祉を見つめている姿を見られた」「障害をもつご家族がいる学生がいて、学生がもつ福祉への眼差しや思いの強さに感動した」などの感想が聞かれました。

 

つるかわ学園施設長の丸山文弘さんは、「実習生の話を聞くと、職員にとっては自身の福祉への思いがはじまったきっかけを思い返し、深める時間となる。イベント参加者が現時点において福祉を志望していなくても、何かの拍子で思い出し、将来、法人連の施設を担う人材になるかもしれない。試行錯誤しながら、認知が高まるよう、今後もこの活動を続けていく」と話します。

 

 

クリエイティブin町田のチラシ

 

クリエイティブin町田 映像を通して障害福祉の魅力を紹介

 

クリエイティブin町田 同級生の発表を聞きに来た高校生

 

深まりつつある法人連

法人連の活動によって関係性も深まってきました。例えば、移動困難の障害が重い方への移動支援への取組みがすすんでいる事業所に、利用者の移動支援をお願いする際に、利用者とともに職員も付き添い対応を学び、知識を得るなども、お願いできる関係性になっています。

 

職員の研修内容の見直しで育成と定着へつなげる

法人連の活動では研修にも重点を置いています。当初はテーマを決めて、外部講師を依頼し、年間計画に沿って研修会を行っていましたが、2年前から、各施設の職員が研究した事例を発表する事例検討会をはじめました。事例検討会では、計画的に事例対象者へ関わったり、法人連メンバーの違う角度からみたアドバイスをもらうことで、施設に持ち帰り、意見を振り返りつつ再検討し、工夫し実践することを、繰り返します。

 

事例検討会として職員が発表する場をつくることは、職員が発表する事で試行錯誤しながら積み上げた一つひとつの実践が、その後の大きな自信となり、モチベーションが高まり、実践力の向上に繋がっています。利用者の支援技術のレベルアップ、職員関係を形成する力、地域社会の一員である施設としての目を向ける力(目線)など、事例検討会の効果はさまざまな場面で表れています。

 

 

取材先
名称
町田市社会福祉法人施設等連絡会
概要
町田市社会福祉法人施設等連絡会
(つるかわ学園、まちだ育成会、みずき福祉会、白峰福祉会、富士福祉会、東京援護協会、紫苑の会、ボワ・すみれ福祉会、ひふみ会、共働学舎、クラブハウス町田、アミティ町田けやき、町田フレンズサポート、ゆどうふ)
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