社会福祉法人 村山苑
さつき荘 主任相談員
大坂友美さん
あらまし
- 生活保護法に基づき、障害や経済的問題などの理由で日常生活を営むことが難しい方が生活する救護施設。さつき荘で主任相談員として働く大坂友美さんに取材しました。
予備校の事務員から福祉の世界へ
さつき荘は、心身の障害や経済的理由などで日常生活が困難な方を対象にした生活保護法に基づく救護施設です。さつき荘に入職する前は、社会人向けの公務員試験予備校で事務員として働いていました。当時、私と同年代の生徒さんが仕事をしながら勉強に向き合っている姿に刺激を受け、「頑張る人たちのためになる仕事がしたい」と思うようになりました。ある時、予備校の先生から、福祉関連の資格が取得できる専門の大学があることを教えてもらいました。「この先どうしようか」と思っていた矢先だったので、ほぼ勢いでその大学へ入学しました。
数ある福祉関連の資格の中で社会福祉士を選び、それからは勉強、勉強の日々でした。人生で一番勉強に集中したといっていいくらい必死に勉強した結果、2004年に社会福祉士の資格を取得しました。同年に社会福祉法人村山苑が運営する救護施設の村山荘に入職しました。
人として尊重し合う関係でありたい
村山荘では、食事の配膳や入浴介助など、身の回りをサポートする援助員として4年間、入所者の方々と関わりました。始めは何をしたらいいのか全く分からず、先輩にいろいろと教えてもらいながら仕事に慣れていきました。
村山荘で4年間勤務し、2008年にさつき荘に異動になりました。主任相談員として、利用者からの相談や自立に向けた援助計画の作成、病院や介護施設といった外部施設との連絡調整など、中長期的な視点で利用者の自立をめざして支援しています。利用者の生活を間近で見ていると、何らかの障害があっても洗濯や調理などの日常生活を工夫しながら過ごされていて、その姿にいつも励まされています。時には私たち職員にねぎらいの言葉をかけてくれることも。支援する側とされる側ではなく、人として相手を尊重し、それをきちんと言葉や態度で示すように心がけています。例えば、体調や今日できたことなどを毎日細かく記入する自立のための取組みのノートがあるのですが、こちらが「やって当たり前」という気持ちでいると利用者に伝わりますし、「やらされ感」が残ってしまいます。なぜ記入することが必要なのかをきちんと説明し、提出していただいたら精いっぱい感謝の言葉をかけるなど、真摯な姿勢で向き合うことが大切だと思っています。
主任になってまだ日は浅いのですが、職員みんなが前向きに働いてもらいたいと思っています。職員が元気で働きやすい職場や組織でないと、利用者を支えることができません。利用者と一対一で関わり、自立や成長を目の当たりにできるやりがいのある仕事ですが、一方で体力的・精神的に厳しい仕事でもあります。心身の調子を崩す職員を一人でも減らすために、悩みやSOSを気軽に打ち明けられるしくみをつくれないか模索中です。
救護施設には、社会福祉士だけでなく介護福祉士、看護師、栄養士などさまざまな専門職が集まっています。さつき荘の職員一人ひとりが力を持っている専門集団です。それぞれの職能を最大限発揮できる環境づくりのために、主任として自分ができることは何かを考え続けていきたいです。
香りのあるハンドクリームや化粧品で癒されています。気に入った香りのものがあるとつい買ってしまうので、自宅にはいろいろな香りのアイテムがあちこちに。気持ちが落ち着く香りが好きです。
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