保育士 平井 賢一さん
保育の仕事に戻ってきてよかったと心から思える
掲載日:2017年11月29日
2015年10月号 くらし今ひと

 

あらまし

  • 一度は保育の仕事を離れましたが、また保育士として大好きな子どもたちとまっすぐ向き合う平井賢一さんにお話をお聞きしました。

 

 

受験の失敗が転機

私がはじめに保育士になろうと思ったのは、理工系大学の受験に失敗したときでした。浪人中に「自分が本当にやりたい仕事はなんだろう?」と自分の気持ちを見つめ直した時に、「ありがとうと言ってもらえる仕事がしたい」と福祉の仕事について調べはじめました。もともと子どもが好きだったので、保育士資格の取れる県立の保育大学校を受験しました。そして、大学校卒業後に群馬県で保育士になりました。

 

仕事量と人間関係に疲れて

保育士として働いて4年が経つ頃、自分の中で、子どもを見ていくことよりも、人間関係の難しさや、書類の大変さが大きくなっていって、「疲れた」と感じるようになりました。それで、「悔しい。うまくいかない。もうやめてやる!」と、退職を決めました。とりあえず1回保育の仕事から離れて違うことをやってみることにしました。それからは北海道へ行ってホテルのレストランで接客の仕事をするなど、色々な職場を転々としていました。

 

自分のスタイルに合った場所で

群馬にいた頃に同じ市内で働いていた男性保育士の先輩の仕事の手伝いを東京でするようになりました。その方から「家庭的保育事業で保育の仕事をやってみないか」と誘っていただきました。もう1回保育士を選ぶことは、勇気のいることでした。以前働いていた頃の厳しいイメージが残っていて、責任の重さとか、勤務時間の長さとか、人間関係でうまくいかなかった経験や書類の大変さを思い出してすごく悩みました。でも、紹介された社会福祉法人の運営する保育園の勤務時間や給料などを含めた条件が、今の自分の生活と照らし合わせてみて、これならやれるかも!と思えたんです。実際に今の職場で働くことになりました。保育園が女性の多い職場という点は変わりませんが、ここは自分の思うことを発言できるし、それをちゃんと聞いてもらえる環境で、のびのびと自分の保育ができています。男性だから、女性だから、という視点は持たないようにしていますが、子どもが喜ぶダイナミックな遊びができることは、男性である自分の持ち味かなと思っています。

 

子どもたちとの関わりが幸せ

保育の仕事に戻ってきて思うことは、子どもが本当にかわいくて、まっすぐで、子どもたちと一緒に過ごせる時間がとても幸せだということです。自分のことを必要としてくれて、大好きでいてくれる存在がたくさんいることはこんなにもすごいことなんだ!と改めて感じました。日々保育について悩むこともありますが、頑張れば頑張った分だけ子どもは応えてくれます。子どもに自分の気持ちが伝わっていることがわかるんです。子どもたちのエネルギーとあたたかさを日々感じています。

 

戻ってきて本当によかった

保育士という仕事について、今はずっとやり続けたいと心から思えます。子どもが自分を見つけただけで、嬉しそうに笑ってくれた時、すごく幸せを感じるんです。最近のお母さんやお父さんはとても忙しくなっていると思います。そんな時に、保育士が子どもたちに関わってたくさん愛情を与えることはとても大切なことだと思います。保育園は、子どもたちが「自分は愛されているんだ」と確認できる場所としてとても大切な場所です。子どもが本当に好きで、子どもへの愛情があれば、それは保育士としてすごい才能で、今、保育の現場に必要とされている存在だと思います。

 

 

取材先
名称
保育士 平井 賢一さん
タグ
関連特設ページ