あらまし
- 三鷹市立第五中学校(五中)おやじの会に所属し、五中PTA会長を務める酒井一樹さんにお話をうかがいました。
7年前に札幌から東京へ移り住んで来ました。その頃は、新しい土地で地域の人たちの中へ溶け込むのが、なかなか大変だったことを覚えています。子どもの通っていた小学校におやじの会があったのですが、「お父さんも入ってよ」と子どもに言われ、私も所属するようになりました。ですが、メンバーから活動の誘いがあっても何か理由をつけては断り続け、気がつけば2年が経っていました。
いざという時に助け合えることの大事さ
そうして、2011年の3月、あの東日本大震災が起きたんです。震災を目の当たりにし、いざという時に身近で手を取り合い、助け合えるのは、地域の人たちなのだと気づかされました。そして、自分から行動を起こさなければダメだと思ったんです。おやじの会の活動に積極的に参加するようになったのも、震災後からです。
活動を続けているうちに、いつの間にか、自然と子どもたちから挨拶されるようになり、地域の人たちと当たり前のように声を掛け合える関係が築けていました。
子どもたちの笑顔が見られるだけで、本当にありがたいと感じるようにもなりました。
自ら一歩踏み込んで得た「居心地の良い場所」
おやじの会での活動は、五中生と教職員、おやじの会による学園祭「鷹南祭」の運営や、地域のお祭りの警備、体育大会への参加、小学校のおやじの会との合同イベントなどさまざまなものがあります。これらの活動の中で、子どもたちや地域の方と触れ合いながら、地域の絆を深めています。
活動は強制ではありません。それぞれ仕事や家庭の用事もありますから、来られる時に来る。同じようなおやじ仲間たちもいますし、中に入ってしまえば、次第に居心地も良くなってくるんです。
ですが、外から見ているとどうしても敷居が高く、一歩踏み出せない。あるいは、すでに活動している私たちが敷居を高く見せてしまっている部分もあるのかもしれません。
子どもの通う学校や、住んでいる地域での活動ですから、本来敷居は低いはずなんです。若い世代のお父さんたちにもどんどん参加してもらえるよう、入ってきやすい環境をつくることが、今ある課題の一つです。
私自身、その敷居の高さに足踏みをしていた時期があったので、自分から一歩踏み出すことで「自分にとって居心地の良い場所」と、その活動の中でしか出会えない「幸せ」の2つを得られた私の経験を、伝えていければと思っています。
新しい世代へつないでいくために
4月から子どもが中2になったので、現在は五中PTA会長としての活動が主軸ですが、五中おやじの会で現役として活動できるのはあと2年しかありません。
課題はまだまだありますが、学校や地域との連携を見直していくこともその一つです。 今はまだ連携がうまくできていない部分もありますが、学校だけでなく、PTAや各団体、行政、他地域のおやじの会などとも連携していくことで、地域としてもさらに成熟していけるのだと思います。
五中おやじの会に今以上に良い流れをつくり、それを引き継ぎ、新しい世代の”おやじ“たちにも、私と同じ気持ちを体験できる環境を残すため、取組んでいかなければと思います。
「いい距離感を保ちながら、子どもたちと関わり、学校や地域のお手伝いをしながら、おやじたち自身が楽しむ」を目的に、平成21年3月に三鷹市内の中学校として初めて立ち上げられたおやじの会。学校や地域に関するちょっとしたお手伝いなど、さまざまな活動を行っています。