あらまし
- 会社を退職した後、暖かな人柄から、お住まいの杉並区で「杉並福助会(精神障害者の就労継続支援B型事業所)」の代表理事や「杉並介護者応援団」理事等を担うようになり、幅広く活躍している府川六幸さんにお話をうかがいました。
ダンディーおからの会結成
62歳で体調を崩して会社を退職しました。その時、時計、携帯、名刺を捨てました。学歴・社歴を持ち歩きたくないし、一切の物に拘束されたくないと思ったからです。
ある時、乗車していた電車で4人のご家族が、入り口を〝陣取って〟いました。席が空いていてすいているのにマナーが悪いなと正直なところ思っていました。すると、自分と同じ年くらいの方が、そのご家族と手話やメモで会話を始めました。アナウンスが聞こえないから、乗り過ごさないように路線図や掲示の見える場所にいたようです。気付けなかったことが恥ずかしく、自分も何かあった時に役に立てるといいなと思うようになりました。
そんな中、住まいの近くの保健センターが主催する60歳過ぎの男性を対象にした「スーツを脱いでどぶねずみルックからおさらばして、おしゃれを楽しもう」という健康講座に参加しました。講座終了後、その仲間達約10人と「ダンディーおからの会」という料理の会を始めました。おからは、豆腐の抜け殻だけれど、どっこい栄養価も高いということで命名したんです。
障害のある人ともっとコミュニケーションをはかりたい
その活動をする中で、保健センターの方から「将棋好きな人達がいるからお相手をして」と誘われ、「好きだから、いいよ」と引き受けました。そこが精神障害者のデイケアだとわかったのは、もう少し後のことです。将棋を指しながら「いやにおとなしい人達で、会話が続かないな…」と思っていました。そこで、彼・彼女達と「コミュニケーションを図れるようになりたい!」と傾聴講座、更に傾聴教室に通いはじめました。
傾聴では、その人の立場に立って話を引き出して聞く大切さを学びました。こちらの気持ちが変わったせいか、デイケアで「おはよう」と声をかけると「おはよう」と返ってくるようになり、嬉しかったです。
その後、傾聴の会に参加し、区内の特別養護老人ホームで認知症の方の傾聴ボランティアに参加しました。「在宅で認知症の高齢者を見ている方は大変だろうな」とつくづく思っていたところ、縁あって「杉並介護者応援団」という介護者の支援をするNPO団体に関わることになりました。
人との出会いが力に
一方、区内5か所の保健センターで精神保健のボランティアをしている人が活動を深めようと横の連絡会をつくりました。
精神障害者の作業所「地球儀」がNPO法人杉並福助会になるにあたり、連絡会が発起人になった関係で、杉並福助会の理事長になってほしいと言われました。運営に関することだったら、これまでの経験から相談にのれるかもしれないと思い、引き受けました。
自分は、「こういうスキルがあるから生かしたい」と地域活動に参加したというより、声をかけてもらう中で、人とのつながりができて活動が広がっていったという感じです。
ボランティア活動をすると色々な人との出会いがあります。ごく一般の人に見えても、すてきな才能や可能性がある人と出会え、それが力になります。また、活動していて、「ありがとう」「肩の荷が降りた」という言葉をいただき、元気付けられます。
自分は、1つの会社で40年間勤め、色々な部署を経験しました。その時の人脈や経験を自分の財産として活動しています。
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