Posseの入口。(左)関谷昴さん
府中市のアパートにある、あたたかい雰囲気の一室に入ると「Co-study Space“Posse”」(以下、Posse)の文字が出迎えてくれます。
入口近くにあるカウンター形式の「ラウンジ」でスタッフと話したり、自由スペースの「Lab」で自習したり、畳のある落ち着いた雰囲気の「Den」で本を読んだり。Posseを訪れる中学生、高校生(以下、中高生)はその日の気分に合わせて自由に過ごします。実際に訪れた人からは「自由に過ごせて良い」との声が聞かれます。
「人は『今日は読書したい』『今日はスタッフと話したい』と日によって気持ちが変わる。その気持ちにあわせた場所の選択肢を用意するのは大事ではないかと思い、雰囲気、テーマの異なる3つのスペースをつくった」と代表の関谷昴さんは言います。
Labの風景
地域に中高生の学びの場をつくりたい
Posseは、令和2年2月に、中高生にとって家庭、学校に次ぐ第3の学びの場としてオープンしました。Posseはラテン語で「能力」という意味です。利用時間内は大学生等のスタッフが2人以上常駐し、訪れる中高生に勉強を教えるなどしています。
関谷さんは府中市市民活動センタープラッツの職員としても働いています。Posseの対象を中高生としたのは、地域に中高生の居場所が少ないと感じたことからでした。「中高生と日頃接する中で、『家、学校以外で自分のやりたいことを実現できる場所が少ないよね』、『そういう場所をつくれたらいいよね』と話していたのが始まりだった」と語ります。
関谷さんが関わる、まちづくり活動をする府中市の若者が集まった団体「Youth Action for Fuchu」のプロジェクトの一つとして、同様の想いを持つ仲間と共に、Posseを立ち上げることとしました。
地域と共に学んで、共に生きていく場所
Posseという場をつくるにあたり、アパートの一室を、自分たちの手でリノベーションすることとしました。必要なお金はクラウドファンディングで集めました。地域との関わりを大事にしたい、地域の人に共感、応援してもらいながら学びの場をつくっていきたいという想いがあったからです。
「中高生になると地域の中で行ける場所が塾、学校などと限られて、地域とつながる機会が少なくなる。Posseは中高生の学びの場ではあるが、ここを起点に中高生が地域の人とつながりをつくっていける場所にもしたいという想いがある。名前に“Co-study”と入れているのも『いろいろな人と共に学んで、共に生きていく』ことを実現したいと思ったから」と関谷さんは語ります。
昼間はコワーキングスペースとして、地域の大人に場所を貸し出しているのも地域とのつながりを意識してのことです。30・40代を中心に利用があり、地域の大人とのつながりも生まれています。
壁にはクラウドファンディングに
協力してくださった方々の
名前のプレートが並ぶ
コロナの影響をポジティブな経験に
2月にオープンしたPosseは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一斉休校と同時期に休止しました。代わりに、オンラインで大学生や大人からさまざまなことを学べる「Posseアカデミー」を開催しました。「コロナの影響で、ただ家にいるだけという状況は学びが少なくなる、新しいものに出会わなくなると危機感を抱いた。このような状況でも『家にいたからこそ新しい人に出会えた、新しいことを知ることができた』というポジティブな経験を中高生にしてほしいと思った」と運営リーダーの村元義樹さんは振り返ります。Posseを利用している中高生を始め、利用したことがなかった中高生等、のべ200人の参加がありました。その後、6月からPosseは再開しました。
中高生が自分らしく居られる場所として
訪れる中高生とはLINEの公式アカウントを通じてやり取りをしているほか、中高生が気軽に来られるように、Facebook、noteなどのSNSでも意識的に情報発信しています。今後もさらに周知に力を入れていきたいと考えています。
「自分の力を発揮でき、自分らしく居られる場所こそサードプレイスの意味だと思うので、そういう場所にしたい。また、中高生が大学生等と話していく中で、新しい発見や小さな面白い変化が繰り返したくさん起こる場所にしていきたい」と関谷さんは話します。
糟谷コーポラス202号室
土・日10:00~20:00
〈利用料金〉 月会員:1,000円/月
ビジター利用:100円/回
〈Facebook〉
https://facebook.com/Posse.fuchu/
〈note〉
https://note.com/Possefuchu