(社福)若竹会
事業の継続や早期再開を念頭に、日頃からの備えをすすめる
掲載日:2018年10月27日
ブックレット番号:7 事例番号:83
岩手県/平成30年3月現在

早期再開のために必要な視点

菊池さんは「法人自身が『再開する』と決めないと、ずっと被災法人のままになる」と言います。そして、震災から約2週間後の3月末をひとつの区切りとして、「全半壊した4か所の障害者グループホームを除き、新年度の4月1日から思い切ってサービスを通常の体制に戻した」と話します。

また事業再開については、若竹会でのグループホーム再建の経験をふまえ、次のように話します。

「グループホームは、基本的に地域の中で一般の家庭に近い形で共同生活を行う場所。したがって、その地域自体が壊滅状態にあり、生業・経済活動が再開されずに住民が生活できないのであれば、その場所での再開は難しいという判断をしなければいけないと考えた。物件は自前ではなく賃貸借だったので、被災していない地域での再開を検討し、平成24年10月までに再開することができた」。当時は土地も建物も不足していましたが、震災前からつながりのあった方のバックアップによって確保することができました。

 

一方、利用者にとっては負担もありました。住み慣れた地域から移転することにより、公共交通機関の利用方法や近隣住民との関係構築などの環境変化に対応していく必要がありました。そうであっても、再びグループホームでの生活に戻ることはできたのです。

菊池さんは、「地域全体のバランスが保てないと事業継続は難しい。地域の人口が減少すれば、当然、事業規模も縮小せざるを得なくなる。働く人の確保も難しい。地域があってこそ成り立つのが福祉サービスだとあらためて感じる。法人規模が大きくなると、たとえば食事も一回につき300名~500名分を用意しなければいけないし、ガソリンも車50台分が必要になってくる。たとえ災害協定を結んで外部支援の方に助けてもらっても、通常の経済活動も含むインフラが戻ってこないと事業は再開できない」と、地域の状況が事業の再開や継続に大きく影響すると言います。

都市部での災害については、「地方と都心部は状況が異なる。地震が起きても、施設を離れずに自力で避難生活を送るということも都心部では考えられるのかもしれない」と話します。そのためには施設が自力で1~2週間しのぐことができるよう、人員体制や物資なども含め、日頃から備えやつながりづくりを行っていくことが求められます。

 

 

社会福祉法人若竹会

常務理事・事務局長 菊池俊則さん

 

 

取材先
名称
(社福)若竹会
概要
(社福)若竹会
http://www.wakatakekai.or.jp/
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