(社福)世田谷区社会福祉協議会
子ども・子育て世帯を見守りニーズにも対応できる地域づくりを
掲載日:2017年12月22日
2015年9月号 TOPICS

 

■あらまし

  • 世田谷区社会福祉協議会(以下、世田谷区社協)では、7月よりファミリー・サポート・センター事業(*)を受託しました。5つの地域で28地区社協が地域活動を行う強みを活かし、地域にある既存の親子が集う子育てサロンと連携させながら地域の子ども・子育て世帯を見守りニーズにも対応できる地域づくりを行っています。

 

世田谷区社会福祉協議会(以下、世田谷区社協)では、7月よりファミリー・サポート・センター事業(*)を受託しました。5つの地域で28地区社協が地域活動を行う強みを活かし、地域にある既存の親子が集う子育てサロンと連携させながら地域の子ども・子育て世帯を見守りニーズにも対応できる地域づくりを行っています。

 

*ファミリー・サポート・センター事業:子育ての手助けをしてほしい方(利用会員)と手助けができる方(援助会員)が、身近な地域で子育ての相互援助を行うもので、世田谷区社会福祉協議会が運営を担っています。

 

 

 

子どもが増える世田谷区

4月より施行された子ども・子育て新制度では、区市町村が実施する「地域子ども・子育て支援事業」の一つにファミリー・サポート・センター事業が位置付けられました。3月に策定された「世田谷区こども計画」によると世田谷区の0~5歳の子ども人口は4万3千365人(27年1月1日現在)で、21年から毎年1千人近く増え続けています。世田谷区社協では同様の事業である「ふれあい子育て支援事業」を13年から実施していましたが、区内の子育て家庭が抱えている課題への対応と継続的な支援を課題としていました。

 

地域課題にも個別ニーズにも対応

事業開始から約1か月が経ちましたが、多くの申込みや問い合わせがあります。特に保育園等へのお迎えや、習い事の送迎などの利用希望者が多くなっています。援助会員には50代から60代の方が中心に登録しています。元気いっぱいの子どもたちとの関わりが、援助者自身の生きがいや、生活の張り合いになっています。また、世田谷区は地方からの転居者が多いため、祖父母と離れて暮らす子どもたちにとって、援助会員は「東京のおじいちゃん、おばあちゃん」です。

 

世田谷区社協地域福祉課ふれあいサービス係長で世田谷区ファミリーサポートセンター長の江口卓さんは「社協には子育て家庭の多くが抱える課題にも、個別の課題にも、こたえられる体制づくりが求められている。最近では外国籍の方からの問合せなども増えている。転入者が多い区なので、近隣に気軽に頼れる存在がいない家庭が多い。援助会員と協力しながら、子どもだけを見るのではなく、その背景の家庭にも目を向けて、個別のニーズにも対応できるしくみを整えていきたい。また、担い手側の気持ちや意欲を高める役割も持ち、行政と連携して広い視野を持ってやっていきたい」と話します。

 

地域性が出る個性あふれるサロン

区内には現在91か所の子育てサロンがあります。以前は専業主婦の利用が多かったのに対し、最近では育児休暇中の方の利用が多くなっています。仕事から離れ、休んでみて初めて地域とのつながりがないことに気づき、サロンに参加しています。援助会員とのつながりを持つことができ、育児休暇が終わる時にスタッフから、ファミリーサポートセンターを紹介してもらったり、ふれあいサービス(日常生活支援)と子育てサロン、ファミリー・サポート・センター事業を組み合わせて利用する方もいます。

「子育てサロンは地域の社会資源を活かした活動をしていておもしろい」と地域福祉課地域福祉推進係主任の尾一美さんは話します。地域の情報交換や保護者のリフレッシュだけでなく、リトミックや英語を取り入れた活動や、工作をしながら親子で遊べる活動、公園などで泥だらけになって遊ぶ活動など、多様なサロンが運営されています。サロンでの交流の中で、個別の困りごとがあれば、スタッフが地区社協担当職員につなげるなど、個別のサポートを行います。「子育てサロンには個別の困りごとをサポートすることと、地域とつながることのふたつを満たす力がある」と尾崎さんは話します。

 

 

 

社協だからできる支援をめざす

江口さんは「地域の中で利用者だった人が援助する側に回って循環していくような支え合いの継続を大事にしたい。また、ファミリー・サポート・センター事業と子育てサロンだけでなく、子育て支援の全体を見ながら支援をしていきたい」と話します。世田谷区社協では、隙間になっているニーズにも目を向け、昨年は妊婦を対象にしたイベントを開催しました。はじめての出産をひかえての不安を解消できるよう、普段はサロンに参加している先輩ママが自分の体験談を話したり、育児グッズの選び方などを教えたりするもので、両親学級で参加を呼びかけるなどして、実現しました。妊婦の頃から地域とつながりを持つことができ、身近な場所に相談相手ができます。

 

今後も地域とつながりの深い社協だからこそできる、地域に密着した支援が期待されます。

 

 

取材先
名称
(社福)世田谷区社会福祉協議会
概要
(社福)世田谷区社会福祉協議会http://www.setagayashakyo.or.jp/
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