京都府立医科大学・京都府・一般社団法人 日本意思決定支援推進機構
”認知症にやさしい” 異業種連携シンポジウム
掲載日:2019年8月20日

第1部の様子

 

あらまし

  • 令和元年7月6日(土)、京都市にて、認知症の方を支える業種を超えた企業連携を考えるシンポジウム、高齢者に関する意思決定支援の現状と課題を考える研究大会が開催されました。

 

”認知症にやさしい”異業種連携シンポジウム

京都学・歴彩館にて、”認知症にやさしい”異業種連携シンポジウムが行われました。

 

このシンポジウムは認知症になっても本人の意思を尊重し、安心して暮らし続けられる社会の実現のため、高齢者や認知症の方に身近なサービスを提供する企業や京都府、京都府立医科大学などが参画する「”認知症にやさしい”異業種連携協議会」(以下、「協議会」)の設立にあわせて開催されました。

 

企業は早い段階から認知症の方に出会っている

第1部では、個人、法人向けに自動家計簿やバックオフィス業務のクラウドサービス等を提供している株式会社マネーフォワード取締役執行役員の瀧俊雄さんと京都府立医科大学大学院教授の成本迅さんによるトークセッションが行われました。

 

初めに、成本教授による認知症の解説、課題提起がありました。成本教授は「認知症になると最初から全てができなくなるわけではない。本人の能力の段階に応じた支援が受けられると良いのではないか」と話します。また「医療・介護分野の支援者は認知症が重度になってから出会うことが多いが、企業の人は日常生活の中で、もっと早い段階で出会っていると思われる。認知症の方は見守られるべき存在と考えがちだが、本人がやりたいと思うことをできるように支援するという意識が大切である。それを踏まえた上で、どう対応するか考える必要がある」と認知症の方に対する今後の企業活動のポイントを指摘しました。

 

瀧さんは「弊社は『お金を前へ。人生をもっと前へ。』をミッションにしている。しかし、人生の最後の方で経済的虐待が起きてしまうことがあり、これを何とかできないかと考えている」と企業としての課題を語ります。現在、日本ではキャッシュレス化がすすめられており、認知症の方などが取り残されるのではないかという話もあります。しかし、ICTを活用すれば大量の現金を持ち歩くことは減り、電子マネーなどではお金の流れの記録を残すことができるメリットがあるため、認知症の方などでも利用できるようなサービスが模索されています。

 

報告の後のトークセッションでは、ICTを活用することによる細やかな対応の可能性について、瀧さんは「一部の認知症は早期発見できればある程度の予防ができるため、企業と医療・介護分野が連携し、早期発見のチャンスをつくっていくことが大切ではないか」と指摘しました。

 

さらなる異業種連携に向けて

第2部の様子

 

第2部では、成本教授、瀧さん、京都市岩倉地域包括支援センター松本惠生さんと、協議会に参画している企業によるパネルディスカッションが行われました。

 

京都市岩倉地域包括支援センターでは「認知症の方”と”何ができるか」という意識で、地域の企業の人と認知症の方が具体的に出会う場づくりに取り組んでいます。例えば、金融機関やスーパーで働く人と認知症について学ぶワークショップを行ったり、ブライダルスペースや駅を活用した認知症カフェを行ったりするなど、地域の企業と連携しながら取組みをすすめています。

 

次に、協議会に参画している情報通信、運輸、小売、金融・保険、医療・福祉、警備分野の企業が取り組んでいる認知症の方やその家族、支援者等を対象としたサービスの実践について報告がありました。各企業の報告を受けて、参加者からは「認知症本人や家族の声をサービスの検討段階から入れてほしい」といった意見があげられました。

 

協議会は、令和元年6月に設立され、検討が始まった段階です。今後、異業種連携による新たな取組みが期待されます。

取材先
名称
京都府立医科大学・京都府・一般社団法人 日本意思決定支援推進機構
概要
京都府立医科大学
https://www.kpu-m.ac.jp/doc/index.html

京都府
http://www.pref.kyoto.jp/

一般社団法人 日本意思決定支援推進機構
https://www.dmsoj.com/kenkyu
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