特定非営利活動法人 日向ぼっこ
いつでも安心して帰れる場所
掲載日:2019年9月17日
2019年9月号 みーつけた

スタッフのみなさんの似顔絵

 

文京区にある「特定非営利活動法人日向ぼっこ」(以下「日向ぼっこ」)は、平成18年に社会的養護の当事者団体として活動をスタートさせ、平成25年からは「多様性が尊重される社会の実現」をめざして活動している団体です。

 

児童養護施設で過ごした経験のある3名が語り合う中で施設で生活していた人たちの孤立を防ぐネットワークを構築する必要性があると感じ、そのために施設の現状や制度などの知識を学ぶ勉強会を始めたことがきっかけで発足しました。活動を続ける中で、施設退所者だけに限定せず、さまざまな方にかかわっていただけるよう、活動を発展させていきました。

 

日向ぼっこは、平成25年に団体の目的を「多様性が尊重される社会の実現」に変更しました。活動をすすめる中で、社会的養護の当事者ではない方からの相談を受けることが増えたことで、社会的養護の当事者って誰なんだろうという考えに行き着いたからです。一般的な社会的養護の当事者の定義は児童養護施設等や里親のもとでの生活を経験したことがある方です。しかし、家庭内で虐待を受けていたり、交通遺児であることなどを背景にもっていても、相談するところを見つけることができず、当事者として支援を受けられない子どもたちが少なくありません。このような現状から、日向ぼっこでは、社会的養護の当事者のみに限定せず、さまざまな背景をもつ方がかかわることができるネットワークを構築したいと考えるようになりました。

 

中心となる活動

日向ぼっこでは、「居場所事業」「相談事業」「発信事業」の3つの事業を中心に活動しています。

 

「居場所事業」では、日向ぼっこサロンを週3回開催しています。来館者は、10~20代の方が多く、1~5名程度の方が参加しています。スタッフとの会話を楽しんだり、本を読んだりなど、自由に過ごしています。スタッフは「日向ぼっこは一般住居用のマンションの一室を借りて運営し、できるだけリラックスできる雰囲気をつくるよう心がけている」と話します。週1回は夕方の時間にサロンを開催し、参加者と一緒に軽食を作って食べています。

 

「相談事業」では、電話・面談などを通して相談を受けています。ご本人の意思を尊重し、時間をかけて話を聞くこと、解決に導くのではなく、一緒に考えることを大切にしています。必要があれば、専門家等(弁護士など)と連携を取り合うこともあります。

 

「発信事業」では、日向ぼっこにかかわるさまざまな方からの声を毎月発行している「日向ぼっこ通信」やWEBサイト、講演活動などを通して社会に発信しています。

 

中心のイベント

一つは日向ぼっこの原点である勉強会です。これは現在も月1回の頻度で開催しています。テーマは年度初めに参加者とスタッフが一緒に決めており、昨年度は延べ34名の参加がありました。年齢や職業、生活環境などさまざまな異なる背景をもつ参加者が、テーマについて自由に話し合える場となっています。

 

もう一つは「ことなの語り場」です。「ことな」とは、こどもと大人の間にいる人たちのことをさす、日向ぼっこが創った言葉です。実行委員になったことなが中心になってイベントを企画・実施しています。「さまざまな立場のことなや大人が、テーマに沿って話し合い、普段はなかなか話せない思いについて語り合う場になっている」とスタッフは話します。

 

支援するのではなく、”一緒にいられる”存在に

スタッフのみなさんは「活動を続けていく上で大切にしていることは、一緒にいられる存在となること。そして、本人のペースにあわせ、ゆっくりと関係を築いていく中で、”安心していることができる”と思ってもらえる場所になってほしい」と話します。

 

また、今後の課題については「どうすればより多くの方に日向ぼっこの存在を知ってもらえるか。必要としている人にいかに情報を届けていくか。そして、一人で抱え込む人が少しでも少なくなってほしい」と語っていました。

 

  • 特定非営利活動法人 日向ぼっこ
    社会的養護の当事者参加の実現や、孤立防止を目指し集まった当事者グループとして、平成18年に発足。平成25年からは「多様性が尊重される社会の実現」をめざし、居場所支援、相談事業、発信事業などを行う。
取材先
名称
特定非営利活動法人 日向ぼっこ
概要
特定非営利活動法人 日向ぼっこ
http://hinatabokko2006.com/
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