(社福)仁育会 介護老人福祉施設 青梅療育院
想定していなかった水害 地域とのつながりで早期復旧へ
掲載日:2018年3月26日
ブックレット番号:6 事例番号:61
東京都青梅市/平成29年3月現在

 

平成28年8月22日に関東地方に上陸した「台風9号」ならびに8月30日に東北地方に上陸した「台風10号」によって、関東、東北、北海道等を中心に、大きな被害がもたらされました。その台風9号による豪雨では、東京都内でも被災した施設があります。社会福祉法人仁育会 介護老人福祉施設青梅療育院(定員100人)は、福祉施設では都内で唯一、浸水の被害を受けました。

 

バケツをひっくり返したような大雨

施設が浸水するまでをふり返って、施設長の宇津木敏郎さんは、「雨が降ってきたと思ったら、バケツをひっくり返したような大雨になり、みるみるうちに玄関まで水が入ってきた」と話します。職員が急いで土のうを玄関に積み上げて対応しましたが、水は施設の内部にまで侵入し、降り始めから30分足らずで床上40センチにまで達しました。2時間後には完全に水が引いたものの、浸水によって1階の電気、冷暖房、通信機器等が使えなくなり、1階に設置してあった機械浴槽や洗濯機、厨房機材も壊れてしまいました。入浴は清拭で代替し、洗濯は好意で代行を申し出てくれた近隣の施設にお願いしていましたが、9月初頭には復旧しました。しかし、厨房機材は被害が大きく、改装工事が必要となり、9月中旬まで食事を外食業者へ委託せざるを得ませんでした。また、事務所にあった書類も浸水の被害にあいました。

 

被災時、施設の目の前の駐車場の様子

 

 

 

水害は想定していなかった

「何より幸いだったのは、利用者が全員無事だったこと」と事務長の伊東力さんは何度も強調します。1階には居住スペースがなく、利用者は施設の浸水前に昼食を終えて2、3階の居住スペースに戻っていたため、全員が無事でした。また、職員にも被害はありませんでした。2、3階は電気、冷暖房等の設備に被害がなかったため、利用者に別の施設に避難してもらわずに済み、精神的な負担も少なかったと言います。

宇津木さんは、「浸水が起こったのが日中で、しかも昼食をちょうど終えたころに雨が強まってきたから良かったが、もし夜間に発生したり、多くの利用者が1階で過ごしている時間帯だったらと想像すると、本当に恐ろしい。この地域は平成10年にも同様の豪雨を経験したが、その時は玄関までの浸水だった。地震や火災に関する防災マニュアルは作成して、消火訓練等も行っていたが、水害は想定していなかった」と話しました。

 

事務室も浸水し、多くの書類が被害にあった

1階は床上40センチまで浸水した

 

 

取材先
名称
(社福)仁育会 介護老人福祉施設 青梅療育院
概要
(社福)仁育会 介護老人福祉施設 青梅療育院
http://jiniku.or.jp/
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