東京都文京区/平成29年3月現在
高齢者福祉施設、障害者福祉施設を福祉避難所に指定
福祉避難所は、まずは平成24年度に「妊産婦・乳児救護所」を設置し、高齢者、障害者は平成25年度に区が主導して入所施設との締結をすすめ、平成28年度からは通所施設とも締結をすすめました。現時点で以下のような設置状況となっています。
文京区における福祉避難所の指定状況(平成28年12月現在)
協定先 | 箇所数 | |
1 | 高齢者福祉施設 | 福祉避難所:9か所 |
2 | 障害者福祉施設 | 福祉避難所:3か所 |
3 | 区内大学 | 妊産婦・乳児救護所:4か所 |
関係者とともに区として福祉避難所設置・運営マニュアル
高齢者・障害者などの要配慮者のための福祉避難所は、施設との協定に基づき、区の責任のもとで設置・運営しますが、区と施設が緊密に連携しながら運営することを想定しています。
災害時の供給体制を確保していくために「応援スタッフ」をいかに確保していくかは課題の一つです。例えば、区と介護事業所を結ぶインターネット上の掲示板「ケア倶楽部」に応援の要請を書き込むなどの流れを作ることも検討しています。
この『福祉避難所設置・運営マニュアル』は、まずは平成27年8月に『高齢者編』を作成し、それに障害者分野の考え方を加えて、高齢者及び障害者に共通するマニュアルである第2版を平成28年3月にまとめています。その作成は、協定先の施設職員をはじめ現場職員が参加した検討会を通じて行いました。福祉政策課の内宮さんは「完全なマニュアルを初めからからつくるのは困難。マニュアルに100%はなく、訓練を通じてブラッシュアップしていくものと考えている」と話します。
多くの関係者による施設ごとの福祉避難所開設・運営訓練
このマニュアルをもとにして、平成28年2月には「文京白山の郷 福祉避難所開設運営訓練」、平成28年10月に「文京区小石川福祉作業所 福祉避難所開設運営訓練」を実施しました。年に高齢者施設、障害者施設の各1か所ずつで訓練を行っていく計画です。これまでの訓練を内宮さんは、「やってみると、施設長から職員までの意識が共有されていくのを感じる。また、施設自身のBCPとの兼ね合いを調整する必要性が出てくるのがわかった」とふり返ります。そして、「区で統一したマニュアルを作ったものの、やってみると施設による違いも見えてきた。訓練の時に作った物は全て施設に置いてくるようにしている。この先は施設ごとのマニュアルを作っていくことも必要になってくるだろう」と話します。
こうした一連の取組みでは、過去の災害に学びながらも文京区の特性をふまえたリスクを想定しています。そして、災害時に想定される文京区の要配慮者の需要と供給の課題に区が対策を講じようとする姿勢を明確にし、その解決策を施設・事業所とともにつくり上げようとしています。さらには減災の視点を重視し、そのため、区民の理解を広げるとともに、災害ボランティアとの連携など区民とともに課題を乗り越えようとしていることが文京区の大きな特徴です。
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