大田区総務部
多様な人が住む町の地域防災計画の策定に向けて
掲載日:2017年12月19日
ブックレット番号:6 事例番号:63
東京都大田区/平成29年3月現在

 

 

大田区では外国人向けの防災訓練も実施しています。しかし、防災訓練だけでは参加者も少なかったため、日本文化を紹介するイベントなどと組み合わせて開催しています。平成28年2月には小学校を会場に消防署の協力を得て、「防災訓練」と「お正月文化体験」をする「ジャパンデイ」を開催しました。防災訓練では起震車、煙体験、初期消火訓練などを行い、英語・中国語・ネパール語の通訳者が同時通訳をしたので、大田区内外から中国、アメリカ、インド、ネパールなど14か国・地域出身の外国人65人が参加し、熱心に訓練に取組んでいました。訓練後は食べる(餅つき体験、雑煮の試食)、遊ぶ(けん玉、羽根つき、抹茶の試飲)、書く(書初め、年賀状の作成)などのお正月体験をしました。防災コーナーも設置して、多言語による防災ビデオの上映なども行いました。初めて防災訓練に参加した外国人も多く、真剣に取組んでいたそうです。

大田区には羽田国際空港があり、外国人の利用も多いのですが、被災時には空港にいる人については、帰宅困難者として、他の利用者と一緒に空港が対応することになっています。

 

※ジャパンデイの様子。

ジャパンデイの防災訓練は平成26~27年度のみ実施しており現在は行っておりません。

 

 

福祉避難所の理解を深める

高齢者及び障害者施設は日常的な施設利用者もいることから、避難してくる被災者の全てを受け入れられるかが課題になっています。まずは、地域に福祉避難所に指定されている施設があること、福祉避難所の役割などを地域の区民に伝え、発災時に混乱が生じないように正確な理解を得ていくことが必要だと考えています。特に障害者のご家族は災害時の対応に対して危機感を持っています。自立支援協議会防災部会では、福祉避難所のポスター、看板・のぼりなどを作成し、施設に掲示しています。また、大田区総合防災訓練に参加して、要配慮者についての理解を広める活動などをしています。

 

福祉避難所の運営

災害が発生したら避難が必要な区民は、近隣の小・中学校に開設された一次避難所に避難します。その上で、高齢者・障害者・乳幼児などで一次避難所での生活が難しい区民を福祉避難所に移動することになります。大田区では保育園などの区立直営施設に加え、特別養護老人ホームなどの高齢者施設・障害者施設を運営する社会福祉法人等と協定を締結し、福祉避難所として位置づけています。

福祉避難所に指定する保育園は18か所すべて区立保育園で、乳幼児の安全確保の面から、一般の被災者の受け入れはせずに乳幼児のいる家族のみを対象とした福祉避難所となります。

高齢者施設は施設入所者がいることや福祉避難所開設時の役割分担などを明確にしておく必要があることから、高齢者施設の施設長と福祉避難所のマニュアルについて協議をすすめています。

福祉避難所の協定を結んでいる障害者施設は通所施設が多いので、福祉避難所が開設された場合も、一定のスペースや施設機能なども利用が可能ですが、高齢者施設の場合は入所施設であることから、会議室などの余裕スペースを利用して要配慮者を受け入れることになり、受け入れられる人数に限りがあることが想定されます。具体的な開設の判断や福祉避難所への移動人数は災害対策本部が調整しますが、地域により、福祉避難所の数や受入れ人数にばらつきが生じる可能性があります。

 

福祉避難所は、高齢者や障害者が日常的に利用している施設がほとんどです。こうした施設利用者への対応が生じることから、施設職員が要配慮者のサポートを全て行うことはできません。そのため、福祉避難所を利用する人の日常生活の支援は、家族や付き添いの方が中心となって担ってもらうことも考えなければなりません。また、一次避難所から福祉避難所への移動についても、家族や付き添いの方を原則としていますが、災害の程度によっては道路の寸断、ひとり暮らしの高齢者などの移動方法も今後検討する課題であると考えています。

 

※大田区ではヘルプカードの意義を広く浸透させることも含め、マーク入りののぼり旗及びステッカーを作成し、福祉避難所(障害者施設)に配布しています。

 

取材先
名称
大田区総務部
概要
大田区総務部
https://www.city.ota.tokyo.jp/
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