鈴木 晃平さん
社会福祉法人救世軍社会事業団 救世軍機恵子寮
生活支援スタッフ
あらまし
- 救世軍機恵子寮で生活支援スタッフ(※)として8年目を迎え、現在はボーイズホーム(男子ユニット)のリーダーである鈴木晃平さんにお話を伺いました。
「福祉業界合同採用試験」を経て児童養護施設へ
私が小学生の時に、父が大病を患いその後遺症で障害が残りました。それ以来、自宅で福祉サービスを利用するようになり、福祉は身近なものでした。中学生になり、将来の進路を考えた時、自然と福祉の仕事に就きたいと思っていました。
その後、福祉系の大学に進学しました。就職活動ではどのような福祉職場が自分に向いているのか分からず、決めかねていました。そんな時、東京都福祉人材センターの「福祉業界合同採用試験」の開催を知りました。そこにはさまざまな施設種別・業種の求人がたくさんあると聞き、すぐに申込みました。
いろいろな施設の話を聞いてみたいと面接を重ねました。やはり自分は子どもが好きなんだと気づくことができて、児童養護施設の救世軍機恵子寮に就職したいと強く思うようになりました。
カンファレンスを大切に
当時の主任から、どのように仕事をしてみたいか聞かれた際に、私は「子どもたちには、当たり前のことを当たり前にしてあげたい」と答えました。子どもたちに普通の生活を過ごしてもらうための手助けをしたい、という思いです。主任からは「当たり前とか普通って、子どもたち一人一人違うものですから」と言われました。個別支援は大学でも学びましたが、分かりやすい言葉で言われたこの一言は、今でも自分の仕事の真ん中にあります。
先輩職員に支えられながら、生活支援スタッフとしての業務がスタートしました。目の前のことに対応するだけで精一杯の日々でした。疲れてくると視野が狭くなり、独りよがりになりがちです。そんな時、カンファレンスの場での先輩たちの視点から多くの刺激を受けました。それぞれの職員の考えや情報をすり合わせしながら、支援の方針や課題を共有していきます。こうしたやり取りを経て、はじめてチームとしての支援になっていく経験を重ねました。
今、自分がリーダーになって、やはりカンファレンスの時間を大切にしています。課題を一人で抱え込まないように、誰もが自由に発言できる場となるように意識しています。また、メンバーの話し方や表情から個々の職員の様子をうかがい知ることもできます。
法人の中堅職員研修を組み立てる
私は法人内の中堅職員研修のプログラムづくりに携わったことがあります。後輩たちには、法人の理念を自分の言葉と行動で伝えられるような職員になってもらいたいと思っています。自分たちは何を大切にしてこの仕事をしているのか、仕事で迷ったり行き違いが生じたときには法人と施設の理念に立ち戻ることを意識してほしいからです。
さらに、中堅職員が上と下の職員をつなぐことも大切な役割だと思っています。研修カリキュラムにはこういったことを組み入れて構築しました。
コロナ禍を乗り切るために
突然のコロナ禍で、生活は一変しました。学校に通う子どもたちは長期休校やリモート授業となり、休日の外出やイベントもすべて中止、施設内で過ごす時間が増えました。日常生活が大きく変化せざるを得ない状況で、その影響を最小限にとどめることが大きな課題になりました。職員の勤務体制も大きく変わり、職員も子どもたちも何が正解なのか分からぬまま、少しでも良い方向へと、手探りな日々が続いています。
今、登校や外出制限が緩和されてきています。それでも引き続くコロナ禍は子どもたちの日常生活に大きな影響を及ぼしています。コロナ禍以前のような生活に戻れるよう、あせらず着実に子どもたちに寄り添い続けていきたいと思っています。
(※)機恵子寮では、職名には「指導(員)」という言葉を使わずに、生活支援スタッフを総称として使用している。
http://kiekoryo.salvationarmy.or.jp/