(5)市が直営で設置したボトムアップの福祉総合窓口
国立市では、平成27年の生活困窮者自立支援法の施行に先駆けて、平成26年4月より、福祉総合相談事業と生活困窮者自立支援事業を一体的に実施する、市直営の『福祉総合相談ふくふく窓口』を市の福祉総務課福祉総合相談係に設置しています。
当時から、世代に関わらず多岐にわたる相談を受けていた中で、窓口を一本化できないか
と庁内にてプロジェクトが立ち上がり、“市のなかの業務は市のなかでコーディネートできるところをつくろう”というボトムアップでできた窓口です。
生活困窮の相談も、ただお金に困っているだけでなく、色々な課題がその背景に付随しています。国立市の場合は、多くが生活困窮に関する相談であり、生活困窮者支援の色が強い窓口となっています。
また、国立市社協では、家計改善支援事業を受託し、相談員を1名配置しています。生活保護や権利擁護センターなどにつながっている方ではなく、制度の狭間で困っている方が主な相談者層になっています。特に、過去に生活保護を受給されていた方が多い傾向です。相談者との面接のほか、障害者施設などに赴いて、家計改善の出張講座を行ったり、「くにたちフードポート事業」から家計改善支援事業につなげられることもあります。
Ⅱ 3年間の移行準備を経た重層的支援体制整備事業の実施状況
(1)「移行準備事業」開始から本格実施に至るまで
国立市では、令和3年度からの「移行準備事業」を実施するなかで、重層事業に関連する係が集まり、組織改正をするかどうかの検討を続けてきました。その中で、重層事業は必ずしも一括した窓口を目指すのではなく、既存の機能は維持しつつ敷居や壁を低くしていくことが大事であると考え、大きく体制を変えずに現在の体制に合わせた機能を活かし、進めていくことになりました。当時から、市と社協の連携が行われており、重層事業のアウトリーチや地域づくりについては社協のCSWが既に取り組んでいたため、目指したことは、社協のCSWの事業のバックアップと、庁内の福祉総合窓口が担う多機関協働の機能を明確化させることでした。
国立市は、コンパクトな市であることもあり、アウトリーチに関しては拠点をつくるというよりは、既に地域住民が取り組んでいる居場所やサロン活動に直接CSWが出向く方向で整理しています。
https://www.kunitachi-csw.tokyo/