（５）参加支援事業

　 国立市社協では、一般就労が難しい方々への就労マッチング事業を開始しています。令和６年度は、「メニューの開拓」をメインに取り組んでいます。開拓先は、社会福祉法人から一般企業まで広げていけるよう進めているところです。実際につながった事例として、市内の商店が挙げられます。広範な業務は難しいため、単発的に業務を切り出して、まずは短時間でお願いするようなイメージです。

  「からふらっと」などの居場所に社協のCSWが関わりを持っているため、今後は就労のマッチングとしてつなげるルートになっていくことが考えられます。居場所から先の支援につなげるなどの個別のサポートが必要なケースは、全域をフォローする係長も一緒に介入します。直接悩みを聞いたり、時には距離を置いて、第三者的な立場で話を聞いてみるなどを繰り返しながら自分に向き合ってもらうなど、タイミングを図ることも大事になります。このマッチング事業は始まったばかりですが、ゆくゆくは、マッチング事業の利用者がやってみたいことに対応できるメニュー開拓を進めていく予定です。

（６）地域づくり事業に向けた支援事業

   国立市における地域づくりを進めていくうえで、より地域に入り込んだ意見交換の場、情報収集の場をつくるという目標が掲げられています。その地域づくりにおいて、民生児童委員の存在はとても大きく、民生児童委員の方々が集まる地区懇談会にも、地域包括支援センターと社協のCSWがそれぞれ参加しています。国立市ならではの居場所や農園の活用、くにたち福祉サポーターなどをはじめとした地域住民の協力を得ながら、地域の中に積極的に入り、地域課題の解決のためのプロセスを、地域住民とともに経験しながら新たな支援の仕組みづくりを推進していくこと。フォーマルな支援と、インフォーマルな支援を組み合わせながら、“何かさりげなくつながっていて、それが実は重層だった”というような地域の福祉力を高める活動を目指しています。

   また、重層事業を展開する職員側の意識の幅を広げることも大切になります。これまでも相談支援職場に新規に配属になった職員向けに、関連する部署の業務理解を深める研修を行ってきましたが、重層事業の実施をきっかけに、配属になった部署や分野だけにアンテナを張るのではなく、「他にはないか」と、自分の枠に留まらないインテークをしていける、重層的な取り組みの視点を身に着ける研修も、今年度から実施しています。

＜ヒアリング日：令和6年12月5日＞