iroToriDori-multicolored neighborhood-
いろいろな人が集う場 みんなのお家ilona(イローナ)
掲載日:2022年7月12日
2022年7月号 み~つけた

サロン運営団体iroToriDori
代表 白井美典さん

副代表 氏家景子さん

 

荒川区にある木造2階建ての一軒家。「みんなのお家ilona」(以下、みんなのお家)は、2019年4月に、荒川区子育てサロンの一つとしてオープンしました。

 

入口では、色々な国の文字で表した色鮮やかな看板が出迎えてくれます。門をくぐるとすぐに広がる「畑」は、子どもたちが自由に土遊びをしたり、ガーデンイベントで利用されます。畑の横には、地域のボランティアの方とスタッフ手づくりの「縁側」も見えます。親子でのんびりと過ごしたり、草花や木の実を摘み、自然に親しむことができます。玄関から家に入ると、親子で遊べる部屋が二つ、カフェ風のおしゃれな雰囲気の一室に入ると、秘密基地のような「押入れ」があります。絵本を読んだり、おままごとをしたりと、子どもたちに大人気な場所です。

 

年齢や国籍、障害の有無に関わらず、さまざまな人が集い、会話を楽しんでいて、実際に訪れた人からは「親子で、とてもリラックスして過ごせた」との声が聞かれます。

 

「誰もが気軽に立ち寄り、楽しめて、近所の方との会話が生まれる場所。枠にとらわれた遊びでない、子どもたち自身で遊びを生み出す体験ができる」と、サロン運営団体「iroToriDori」代表の白井美典さんは話します。

 

好きな時間に来られる常設の場をつくりたい

白井さんは以前、子どもの絵画造形教室を運営していました。外国や異文化にも興味があり、15年から4年間は、さまざまな国籍の親子が交流する「多言語パーク」の活動を続けました。この活動をきっかけに、多文化、多世代、障害の有無に関係なく、尊重し支え合う姿を、地域の子どもたちに感じてもらいたいという思いを持つようになりました。

 

地域の声を反映した形で常設の乳幼児の親子向け子育て交流サロン「ilonaおやこの縁側」は設立に至りました。社協や区の協力のもと「みんなのお家」をつくり、その1階で運営を開始。

 

「一人での子育ては大変。悩みを抱えるお母さんが気軽に相談できる場所で、地域のいろいろな人が一緒に子育てを応援する環境にしたい。ここでパワーをチャージして、また明日から頑張ろうとリフレッシュしてほしい」と白井さんは語ります。

 

作品を通して、子どもたちを知ってほしい

「iroToriDori」副代表の氏家景子さんは、17年2月に、発達に障害のある子どもたちと保護者中心でつくる「凸凹の子と一緒に育つ会『ひだまり』」の運営を開始。21年4月から「みんなのお家」の2階で活動を行っています。子どもたちと保護者の居場所づくりをはじめ、障害のある子どもたちを知ってほしいという思いから社協に相談、設立に至りました。

 

気軽に話せる場所として、保護者のための「かたる場」の活動を行うほか、同年4月、自閉症啓発デーには「子ども美術館iroToriDori」を開催しました。自閉スペクトラム症や障害のある子どもたちが制作した作品を1階に展示し、区内の雑貨屋等では作品の販売も実現しました。

 

「作品を通して、何か心に留めてほしい。今後は、公共施設やアトリエ、雑貨屋に子どもたちの作品を展示してもらえるようにお願いしていきたい」と、氏家さんは意気込みを語ります。

 

 

さまざまな玩具に興味深々な様子

 

縁側での遊びは無限大

 

 

コロナ禍が契機となった活動の変化

運営開始から1年経った20年3月、「みんなのお家」は、新型コロナ感染拡大の影響を受け、区のサロンと同時期に休止しました。

 

外出制限もあり、息抜きすることができない保護者のため、スタッフと手分けして利用者全員へ励ましの言葉と、公式LINEアカウントを知らせるハガキを送付。ZOOMの使い方を一から説明するなど、離れていてもつながることを意識して活動を続けました。

 

「コロナという未知の相手にどう対応したら、親子が安心して来室できるようになるのか考え続けた。お母さんを孤立させないようにしたいと思った」と、白井さんは振り返ります。その後、同年6月からおやこの縁側は運営を再開。今でもLINEは相談・交流するツールとして活用され続けています。

 

親と子どもの活力になる居場所に

今後について、白井さんは「地域で応援の循環ができるコミュニティをつくっていきたい。それが子どもたちにも伝わり、目の前に困っている人がいたら、自然と助けられるような人に育ってほしい」と話します。

 

氏家さんは「子どもに障害があることで思い悩んでいるお母さんはたくさんいる。一人で抱え込まず、皆に相談することで、今後すすむべき道や将来の希望が見えるはず。ピアサポーターとして同じ歩調で寄り添う支援を行い、ともに歩んでいきたい」と語ります。

 

「分野の異なる人々の輪が重なり合って、ワクワクするような新たな芽が生まれる場でありたい」と白井さんは言います。ここで出会った人達のことを知り、お互いに相手を尊重することで、かけがえのないつながりが生まれる。「みんなのお家」は、そんな居場所です。

 

 

取材先
名称
iroToriDori-multicolored neighborhood-
概要
みんなのお家ilona(イローナ)

荒川区町屋4-16-7
サロン運営団体:iroToriDori-multicolored neighborhood-
開館:月曜から金曜(祝日等を除く)午前9時15分~午後2時15分
Facebook
https://www.facebook.com/irotoridoritown/
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