左 江東区社協 地域福祉推進課長 古川 謙也さん
右 サテライト城東北部 栢沼 裕美さん
中央 たまりば どんぐりの皆さん
あらまし
- 従来昼の時間帯に行っていた子育てサロンの中には、コロナ禍でオンラインに切り替わると子どもたちが寝た夜の時間帯に開催していたものもあるそうです。保護者同士の交流は継続できたものの、子どもも一緒に親子でつながりをつくることの大切さを感じたとのことで、江東区社協の皆さんに多機能型地域福祉活動拠点を活かしたこれからの子育て支援についてお話を伺いました。
子育て仲間と得意を持ち寄る居場所づくりへ
江東区社協では平成28年度から地域福祉コーディネーターの配置がされ、同時期に「空き家を活用して地域の居場所をつくりたい」という相談をきっかけに「すなまち よっちゃん家」を立ち上げました。これを契機に、住民主体で多世代が交流でき、地域の課題解決に取り組む居場所活動を「多機能型地域福祉活動拠点」とし、この拠点の運営に対する助成を開始しました。令和3年8月に3か所目として立ち上がったのが「たまりば どんぐり(以下、どんぐり)」です。
どんぐりの特徴は、(1)自身の子育ての経験がきっかけ、(2)町会会館の活用が挙げられます。代表の尾辻美枝さんは、子育てをする中で地域とのつながりが希薄になっていることを感じ、「多世代交流が必要だ!」と仲間とともに活動の展開を考えていたそうです。その相談を社協が受け、場所を探していたところ、町会会館をお借りすることができました。町会会館が十分に活用されていなかったこと、町会も新たな担い手を求めていたことから話が進み、最初の相談から半年後には活動を開始しました。どんぐりの利用をきっかけに町会会館に入る子も増え、掲示物を見て「おじいちゃんの名前がある!」と喜ぶ子もいるそうです。自然と町会活動を知り、地域の方々とのつながりができているとのこと。取材の最中には近隣の住民から物品の寄付を受け取る場面も。運営するメンバーだけでなく、地域住民も「できる人ができることで貢献する」ことが受け入れられていました。
新たなサテライトにおける江東区社協の取組み
地域福祉推進課長の古川さんは、「これまでの社協は子育て支援にあまり力を入れてこなかったのですが、転換点を迎えてきていると感じます。そもそも福祉はあらゆる世代が対象なので、子育て支援においては区の子育て部門や子ども家庭支援センターとの連携を進めていけたらと思います」と話します。
江東区社協では、令和5年7月に「サテライト 城東北部」を開設しました。どんぐりの運営支援も、このサテライトに勤務する地域福祉コーディネーターが担います。城東北部担当の地域福祉コーディネーターである栢沼(かやぬま)さんは、「相談があれば気軽に訪問ができたり、住民がふらっと立ち寄って相談してくれたりしています。拠点ができてとても動きやすくなりました」と話します。実際に助産師や看護師の資格を活かしたいという相談を受け、地域での活動につなげた例もあります。サテライトの認知度を高めるために福祉施設や関係機関を訪問したり実際に見ていただいたりしており、今後より連携がとれるよう働きかけているとのことです。
今後の取組みはいかに?
どんぐりの運営にあたっては「多機能型地域福祉活動拠点」への助成を活用しており、ワークショップの備品の購入、駄菓子の仕入れに使用しているそうです。「もっとやりたいことがあるので、引き続き支援してもらえると嬉しいです」と尾辻さんの展望に対し、古川さんは「助成金は社協の自主事業ですので、財源の確保のために様々な工夫をしていこうと思います。どんぐりの活動を応援できるようにがんばります!」と話されていました。
現在、江東区社協では地域福祉活動計画を策定していますが、まちづくりひろばでは「集える場所がほしい」という声が多数挙がっているそうです。社協の会費や寄付金が子育て支援につながる拠点に活用されていることが目に見えてわかると、住民一人ひとりがより「できることで貢献したい」と思えるような循環ができるのかなと思いました。
通りを曲がってすぐに位置する町会会館。
帰ってきた子どもたちに「おかえり」が言える絶妙な立地です。
のぼりが目印!
江東区社協地域福祉推進課地域支援係長の森本朝子さんからのコメント
どんぐりがある地域とは別の臨海エリアは、区内でもとくに子育て世代が増えています。ボランティアに興味がある保護者が増えてきていると感じるので、保護者のネットワークを使って何かできないかと考えています。その地域らしい活動のタネがどんどん芽吹くようにがんばります!
https://koto-shakyo.or.jp/index.html