東社協 児童部会
Focus on!~東社協児童部会 里親制度支援委員会~
掲載日:2024年9月20日
2024年9月号 Focus on!

 

社会的養育をめぐり転換点に立つ里親制度

社会的養護(保護者がなかったり、保護者に監護させることが適当でない場合、公的責任で社会的に養育し、保護するしくみ)が必要な子どもを実際に養育する「社会的養育」。1947年の児童福祉法制定時からその役割を中心的に担ってきたのは児童養護施設や乳児院などでした。里親制度も規定されましたが委託児童数は施設養育と比べ、圧倒的に少数でした。

 

しかし、1989年の国連「子どもの権利条約」で、児童の家庭での養育優先がうたわれると、1994年日本はこれに批准。2002年には専門里親・親族里親を創設するなど大きな里親制度改定をしました。その後も、法改正を重ね、2016年の児童福祉法改正では、施設養育より家庭養育優先の理念を明確に規定、里親への委託拡大の方針を打ち出しました。

 

そういった流れの一つに、2012年、児童養護施設や乳児院と里親をつなげる専門職である里親支援専門相談員の配置という制度改正があります。 東社協児童部会の「里親制度支援委員会」はその少し前より、里親制度の推進・発展、里親と里子への支援の充実、里親宅との連携強化などを目的として設立されました。制度の発足当初、里親支援専門相談員は家庭訪問や里子支援ができないなど業務が制限されていたので、東京都へ制度充実に向けて働きかけを行っていました。

 

さらなる里親制度の発展のために

2017年、東京都が「チーム養育(※1)」体制となると、里親支援専門相談員の業務内容の制限が撤廃され、家庭訪問などができるようになりました。現在、委員会にはフォスタリング機関(※2)の職員、「NPO法人東京養育家庭の会」などが加わり活動しています。50名ほどで月1回の全体会議と、4つのワーキンググループに分かれての意見交換を行っています。

 

 

チーム養育体制での支援では各機関が連携し課題解決に取り組むことをめざす一方、委員長で品川景徳学園施設長の髙橋朝子さんは「里親にとって困りごとを相談するということは、委託解除につながるのではという不安もあり、依然として難しい点が多い」と言います。段階的な相談体系、里親が安心して相談できる場をつくることが求められています。

 

また、2024年4月には「里親支援センター」が創設され、東京都がどのように取り入れていくのか検討段階にあります。委員会としても新たなチーム養育体制のあり方を視野に入れ、本当に必要な支援とは何か、引き続き議論を深めていきます。

 

(※1) チーム養育
里親がチームの一員となって行政・施設など関係機関と連携して子どもの育ちを支えるしくみ
(※2) フォスタリング機関
里親養育包括支援機関。里親制度の広報から登録後の支援まで継続的なサポートを行う

取材先
名称
東社協 児童部会
概要
東社協 児童部会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/bukai/jidou.html
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