あらまし
- 平成28年9月に設立した東京都地域公益活動推進協議会は、(1)各法人、(2)地域(区市町村域)の連携、(3)広域(東京都全域)の連携の三層の取組みにより、社会福祉法人の「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」を推進しています。
西東京市では、平成28年12月23日に「西東京市社会福祉法人連絡会」(以下、法人連絡会)が設立されました。29年度からは連絡会の下に3つの分科会を設置し、各法人の中堅・若手職員も積極的にかかわりながら活動をしています。30年度は、具体的な地域公益活動として「フードドライブ」を実施する予定です。
東京都地域公益活動推進協議会では、地域ネットワークの立ち上げのための事務費や、複数法人の連携事業開始時期の事業費の助成を行うとともに、地域ネットワーク関係者連絡会等を開催し、他の地域と情報交換できる機会をつくっています。
社会福祉法人連絡会設立の経緯
西東京市法人連絡会設立までの流れは以下の通りです。
(1)社協にPTを設置
事務局を務める西東京市社協では、発展強化検討委員会において策定した「西東京市社協 今後の方向性」(平成27年3月)と連動する形で平成27年11月にアクションプランを策定しました。その中では、市内の社会福祉法人との協働をキーワードに挙げており、同年12月に局内に「社会貢献活動推進PT」を設置しました。
(2)アンケートの実施
平成28年2月、市内の社会福祉法人に対しアンケートを実施しました。
(3)地域公益活動検討会の設置
アンケート回答法人の中から、高齢・障がい・児童の分野から各2法人計6法人により「地域公益活動検討会(以下、検討会)」を立ち上げました。平成28年6月から12月まで、月1回のペースで市内社会福祉法人の連絡会組織の立ち上げ等の意見交換や準備などの検討を重ねました。
(4)勉強会の開催
検討会の中で、お互いを知る機会の必要性の指摘があり、社会福祉法等の一部改正の対応に向けた内容や、各分野法人の事業紹介、公益的な活動の紹介、意見交換等を行う「勉強会」を計4回開催しました。
(5)西東京市社会福祉法人連絡会設立
平成28年12月23日、市内社会福祉法人がお互いの事業を理解し、各法人の専門性を活かしながら地域住民と共に地域の課題解決に向けて、連携して公益的な活動等に取組むことを目的に「西東京市社会福祉法人連絡会」を設立しました。初年度は21法人が入会しました。
(6)幹事会および分科会の設置
設立総会で承認を得て、検討会が移行する形で幹事会を設置しました。
29年度には、幹事会での意見を元に、3つの分科会((1)地域公益活動分科会、(2)人材確保・育成活動分科会、(3)広報啓発活動分科会)を設置しました。各法人の中堅、若手職員の参画を促すことで、他分野の社会福祉法人との交流の機会になり、参画した分科会の取組みを各法人へフィードバックすることがスキルアップ(人材育成)にもなることなどから、全ての法人へ分科会への参画を働きかけました。
活発な分科会活動
〈地域公益活動分科会〉
ー13法人より参加(社協職員4人)
29年度は介護の日イベントや市民まつりに参加し、法人連絡会の活動PR等を行いました。市民まつりでは、福祉なんでも相談の窓口を開設するとともに、会場来場者へ地域課題の意向調査を実施しました。
30年度は、具体的な取組みとしてフードドライブの実施を30年7月と31年1月に予定しています。先行して実施する板橋区の取組み状況をヒアリングするとともに、実施に先駆けて30年3月には、具体的なイメージを持つことを目的に「西東京市社会福祉法人連絡会講演会」を開催し、災害やフードドライブ等をテーマにした講演の他、地域活動者の事例報告、意見交換を実施しました。
事務局を務める西東京市社協総務課主幹の鵜野浩至さんは、「みんなでやるぞ!という様子が伝わってくる」と各法人が前向きに検討をすすめている様子について話します。また、「これまでの一連の流れがあった上で、フードドライブの実施が具体的な取組みとして挙がってきた。各法人のアイデアをもとに順序をふんでやってこれたことが結果的に良かった」と話します。
地域公益活動分科会
〈人材確保・育成活動分科会〉
ー11法人より参加(社協職員3人)
「福祉のしごと相談面接会」の開催についての検討のほか、概ね入職5年以内の職員を対象とした「単発型研修会」の企画等を行っています。
「単発型研修会」では、合同研修会「楽しもう!!われらが仲間たち」を30年7月29日に開催予定です。
分科会リーダーの(社福)田無の会「たんぽぽ」の越智一富さんは、この分科会活動について「結成直後から積極的な取組みがスタートできたことに大きな魅力を感じる」と言います。そして、「これまで必要性は感じていたものの、具体的な取組みまでは至らなかった。連絡会が誕生したことは大きな進歩で、一法人だけでは限界があるが、各法人の力を収集することで、地域福祉の向上に向けて大きな効果が期待できる」と話します。
そして、「ネットワークが構築されたことにより、分野を超えての相談・意見交換が日常的に、かつ気楽にできるようになった」と言います。例えば「保育園にいる障がいのある子、パート職員が子育てのことで悩んでいる、高齢障がい者の受入れを躊躇しているなどの分野を超えた課題があった際に、顔が見える関係になったからこそすぐに電話で聞いたり相談することができる。例えば高齢障がい者の受入れについても高齢分野の方から実際に話を聞くことで『やっぱり無理』が『やってみよう』に変わる」と市内の社会福祉法人が顔の見える関係になり、関係が深まることで得られることについて語ります。
人材確保・育成分科会。
前列右から3番目がリーダーの越智一富さん。
〈広報啓発活動分科会〉
ー5法人より参加(社協職員3人)
編集会議を重ね、「西東京市社会福祉法人連絡会通信」を発行しています。創刊号は、社会福祉法人連絡会設立と加入法人を紹介し、第2号では、3つの分科会の取組み紹介を掲載しました。
広報啓発活動分科会
法人同士が連携し一つになる必要性
西東京市社協 総務課主幹
鵜野 浩至さん
事務局として関わってきた立場から鵜野さんは、「社会福祉法改正という大きな動きもあり、市内の社会福祉法人は連携を強化して一つになる必要性を理解し、どこの法人も協力的だった」と振り返ります。そして、法人の協力的な姿勢に感謝を述べます。
事務局としても活動の結果を見せ、伝えることを重視しています。東社協社協部会や地域公益活動推進協議会での情報交換会等で得た情報については、総会や分科会の場で必ず共有しています。
現在、社協が策定をすすめる「第四次西東京市地域福祉活動計画」の策定委員には、法人連絡会から1名が委員として参画しています。特定の分野からではなく、法人連絡会として課題を感じている話題について意見をもらいたいとの考えからです。
今後については、「市内で新たな協働が今後生まれるかもしれない。分野は違っても地域福祉を見ていく中でその部分を包含していくのは社協の立場」と指摘します。
http://www.n-csw.or.jp/service/04/org/renrakukai/
(社福)西東京市社会福祉協議会
http://www.n-csw.or.jp/