川村博さん(NPO法人Jin代表)
ふるさと浪江町に必ず帰ります!
掲載日:2017年12月12日
ブックレット番号:1 事例番号:10
福島県福島市、浪江町/平成24年3月現在
福島県福島市、浪江町/平成24年3月現在
ポイント
- (1)通所事業所は災害時に利用者を守り抜いた。一方、家族に送り届ける上で家族と連絡が取れないことが課題だった。
- (2)通所事業所を休止し、環境が変化して入所となるケースもあった。
- (3)震災前の事業形態にこだわらず、目の前にあるニーズに応える事業を展開した。
- (4)被災した要配慮者の思いを形にして実現することが福祉に携わる者が取組むべきこと。
あらまし
- NPO法人Jinは、震災前に福島県浪江町で高齢者のデイサービスと障害児の児童デイサービスを運営していました。約3万㎡の畑で無農薬・無肥料で生命力のある野菜を栽培していました。東日本大震災の発生時、通所事業所であったため、利用者を家族に送り届けようとしましたが、家族はすでに避難。その晩は施設で身を寄せ合って余震をしのぎました。そして、翌朝、原発事故が発生して直ちに避難するよう指示があり、職員合わせて39人で西へ西へと逃げ、最後の利用者を家族に送り届けたのは3月22日でした。震災当日、利用者の一人を自宅で待ち続けたお母さんが津波にさらわれてしまったことは自責の念が絶えません。児童デイサービスを利用していた12人、生活介護を利用していた23人はそれぞれ避難先で新しい事業所を利用したり、自宅で過ごしたり、入所や入院となった利用者もいます。私たちには「やることがある」。震災から半年後に仮設住宅の敷地内にサポートセンターを開設。仮設住宅では夜になると泣く高齢者が増えました。「帰りたい」と。私たち福祉に携わる者は、本人の気持ちに寄り添った仕事をしなければなりません。だから、「帰りたい」気持ちを形にします。僕がやらないで誰がやる。帰りたい人が安心できるしくみをつくり、必ず帰ります!
取材先
名称
川村博さん(NPO法人Jin代表)
タグ
関連特設ページ