(社福)芳洋会「ひのでホーム」、(社福)日の出町社会福祉協議会、おやこの会ハミング♪
高齢者施設と子育てサロンの世代間交流を社協がつなぐ
掲載日:2017年12月12日
2016年7月号 TOPICS

日の出町社協青木さん(右)と、ひのでホーム嶋崎さん(左)

 

あらまし

  • 日の出町にある社会福祉法人芳洋会が運営する高齢者施設で、地域の子育てサロンと連携した取組みが新たにはじまりました。子育てに追われて忙しいお母さんたちが別室でリフレッシュする間、デイサービスのスペースでデイサービスの利用者が子どもたちとふれあい、交流して過ごします。

 

社協がサロンと施設をマッチング

子育てサロン「おやこの会ハミング♪(以下ハミング)」代表の金子緑さんは、サロンの立ち上げに伴ってお母さんたちが集える場所と、お母さんたちがリフレッシュしている間に子どもたちを見守ってくれるボランティアを探していました。金子さんから相談を受けた日の出町社協福祉推進課地域福祉係の青木建治さんは、近隣にあり、以前からボランティアの受入れや場所の貸し出しなど施設の開放に積極的だったひのでホームで、ハミングが活動するための場所を提供しつつ、子どもたちと施設の利用者との交流ができないかとひのでホームの嶋崎美咲さんに提案しました。

 

青木さんは「数年前から子育てサークルと高齢者施設で一緒にサロンができないか考えていた。しかし、感染症などの問題、縦割りの福祉システムによる連携の難しさや、社協が子育て支援の関係者にかかわる機会が少なく、実現できずにいた。そこで、ひのでホームに相談してみることにした」とその経緯について話します。はじめてのサロンは、平成27年12月、お母さん6名と5か月~3歳の子ども9名が参加しました。ひのでホームのデイサービスで使用している和室スペースを子どもたちに開放し、別室でお母さんたちがアロマ教室を受けました。青木さん、嶋崎さんと2名のボランティアが、怪我やトラブルのないように子どもたちと利用者を見守りました。

 

地域の方は新しい風

はじめは慣れない場所に戸惑う子どもたちと、普段は聞こえることのない子どもたちのかわいい声に利用者も戸惑っていましたが、すぐに利用者が子どもたちのもとに集まり、

抱っこしたりあやしたりと人だかりができました。「もう孫も大きくなっているからこんな赤ちゃんは本当に懐かしい」と利用者から嬉しそうな声が聞こえてきます。「あっ、今笑ったね」と利用者同士の会話も自然に生まれています。「法人の取組みを通して、地域の方が施設に新しい風をいれてくれ、それがご利用者の生活の潤いになっている」と嶋崎さんは話します。

 

そして「ご利用者にありのまま過ごしてもらいたいので、ホームにある売店や廊下でご利用者が子どもたちや地域の方と会う自然な交流も大切にしている」と言います。金子さんは「ひのでホームにはじめて行った時、施設の中はとてもきれいで過ごしやすく、職員の方がみんな明るくて素敵という印象を持った。実際に行ってみて施設がどういうところなのかわかったし、場所の貸し出しをしているということも知らなかった。次はお母さんたちから施設にできることはないかを考えている」と話します。

 

育てサロンの子どもを抱くデイサービス利用者

 

地域公益活動を見える化―それぞれの取組みが地域福祉に活きる

28年5月に、日の出町社協主催「ボランティア受入れ施設向け研修」がひのでホームで開催されました。町内の保育園や幼稚園、高齢者施設の職員などが集まり、参加者が保育サポーターボランティアを体験しながら、地域のボランティアを受け入れる意味を考えました。同時に、ひのでホームが行う場所の貸出しの取組みを紹介しました。

 

青木さんは「研修を通して、施設に利用者以外の方が入ることや、施設を地域のために有効活用することで生まれる効果を感じてもらい、新しい気づきがあったと思う。また、参加者同士の垣根を越えた横のつながりができればと企画した。それぞれの施設が『うちの施設には何ができるだろう』と考えたり、ひのでホームの取組みを見て『これならうちにもできるかも』という思いを持ち帰ってくれたのではないいか」と話します。研修の参加者からは『こういうやり方があるんだとわかった』『地域福祉につながっているという見方をはじめて知った』などの感想がありました。

 

日本一の福祉のまちづくりへ

嶋崎さんは「今後も社協や他団体との横のつながりを大切にしながら、垣根なく幅広い年代で地域に貢献していきたい。ひのでホームとしても、日本一の福祉のまちづくりをめざす日の出町の町おこしに一役買いたい」と話します。青木さんは「みんなが一緒に暮らせる当たり前のまちづくりをすすめるのは社協だけではなく地域。社協は音頭を取るだけではなく、地域の方の自主性を大切にしながら、上手にやっている団体をリーダーにして一緒に取組んでいけるようにしている」と話します。今後は子育てサロンにおいても、もっと個別のニーズに対応できるようにするとともに、ニーズを掘り起こしていくつもりです。また、「ボランティアの輪を広げて協力すれば、すべての人に地域の人の目が届くようになるはず。福祉施設もひとつの地域の社会資源としてみんなで活用してもらいたい。そしてそのお返しとして地域の方が施設の行事を手伝ってくれるような関係になれば施設が自然と地域になじんでいくことができる」と地域が協力してつくる共生社会への想いを語っていました。

 

取材先
名称
(社福)芳洋会「ひのでホーム」、(社福)日の出町社会福祉協議会、おやこの会ハミング♪
概要
(社福)芳洋会「ひのでホーム」
http://www.h-sunrise.com/service/home/

(社福)日の出町社会福祉協議会
https://hinodeshakyo.jimdo.com/

おやこの会ハミング♪
https://ameblo.jp/oyakohumming/
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