2 「多機関協働事業」に関する体制
『渋谷区重層的支援体制整備事業実施計画』によると、多機関協働事業は区直営で令和5年4月から新たに設置された、区の福祉部地域福祉課が担っています。「重層的支援会議」は、構成員を地域福祉課が事例ごとに選定し招集することとし、月1~2回、定期的に開催するとともに、必要と判断される場合は、随時開催されます。「支援会議」も本人から情報を取得することが難しいさまざまなケースの支援に活用し、地域福祉課が事例ごとに構成員を選定し、随時開催されることとなっています。会議にはケースに応じて地域福祉コーディネーターも参加しています。
3 「アウトリーチ等を通じた継続的支援」「参加支援」と渋谷区社協
「アウトリーチ等を通じた継続的な支援」は、渋谷区社協の地域福祉コーディネーターが中心となり、複雑化・複合化した課題を抱えながらも支援が届いていない人や世帯を把握し、時間をかけた丁寧な働きかけを行いながら信頼関係を構築していきます。「支援会議」を経て、訪問して信頼関係を築くための取組みとして始めることもあります。ケースに応じて地域福祉コーディネーターが複数で訪問したり、世帯を知る地域包括支援センターや民生児童委員と一緒に訪問することもあります。
「参加支援」も、渋谷区社協の地域福祉コーディネーターが中心となり、既存の社会参加に向けた事業では対応できない、複雑で多様なニーズに対応していきます。渋谷区地域共生サポートセンター「結(ゆい)・しぶや」では、前述の福祉なんでも相談窓口の分室とともに、「ひきこもり支援」として当事者・当事者家族に向けたプログラムを実施していきます。地域福祉コーディネーターが相談をお受けした方と一緒にその“場”を作っていくことをすすめています。
4 「地域づくりに向けた支援」と渋谷区社協
重層的支援体制整備事業の「地域づくりに向けた支援」をすすめるにあたって、既存の事業では対象別の制度の壁があるため、効果的な取組みが十分にできないことも想定されます。そこで、『渋谷区重層的支援体制整備事業実施計画』では、こうした壁を取り除き、例えば、高齢者を対象とした事業であっても、高齢者と子どもが一緒に多世代で交流するような事業の実施がしやすくなるよう、各補助金の一体的な運用を想定し、地域における多世代の交流や多様な居場所を作っていくことがめざされています。
さらに、『渋谷区重層的支援体制整備事業実施計画』では、「地域づくりのコーディネート・プラットフォーム」づくりがめざされています。それは、既に地域づくり活動を行っている団体や、地域づくり活動に関心のある住民、地域の居場所創設の可能性のある団体等が、互いの関心や活動を有機的につなげる場、互いに相談・協議・学びができる場としてのプラットフォームです。
その取組みをすすめるため、渋谷区地域共生サポートセンター「結(ゆい)・しぶや」では、NPOによる「コミュニティマネジャー」と呼ばれる団体支援の専門職が新たに配置されました。団体同士のつながりから新たな可能性を生み出す取組みには学ばされることも少なくはなく、ここでも渋谷らしい多様な視点による地域づくりの協働が今後、期待されます。
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