あらまし
- このまちでみんなと生きてゆく 豊島区民社会福祉協議会「ちゅうりっぷ学習会・にじいろ学習会」をみ~つけた!
炊き出しに子どもが
豊島区民社会福祉協議会(以下、豊島区民社協)では、主に、地域の母子家庭の小学生を対象にした学習会を2か所で運営しています。
「ホームレスへの炊き出しに子どもが並んでいる」と、民生児童委員から社協に情報が寄せられたことがきっかけで始まりました。平成21年のことでした。平成20年のリーマンショック以降、経済状況は低迷し、池袋などの大都市をかかえる豊島区でも、ホームレスが増えていました。「子どもの貧困がこんなにも広がっているなんて……」民生児童委員も少なからず衝撃を受けていました。そして、社協と民生児童委員が、地域の人や関係者に話を聞くと、貧困、ネグレクトなどにより、充分食事がとれていない子どもがいることがみえてきました。
そこで、豊島区民社協では、民生児童委員、青少年育成委員、ボランティア、子ども家庭支援センター、警察、学校などと協力し、学校の長期休みに「子ども祭り」を開催し、相談コーナーを設置しました。一方、子ども家庭支援センターでは、学校の勉強についていけない小学生のいることが課題になっていました。勉強についていけないことで、学校がつまらなくなってしまわないか、将来、社会に出ていく上で不利益にならないか危惧されました。
そこで、子ども家庭支援センターと連携し、民生児童委員、青少年育成委員等と共に学習支援活動を行おうということになりました。
調理実習や社会科見学も
当初は、子ども家庭支援センターの会議室で、7~8月に学習会や食事・おやつ作りなどを行っていました。平成22年10月からは、子ども家庭支援センターの移転に伴い、主に、特別養護老人ホームの集会室を利用するようになり、「ちゅうりっぷ学習会」と名称を変更しました。平成24年からは、池袋地域で、夏休みを中心に「にじいろ学習会」を開催しています。
ちゅうりっぷ学習会の特徴は2つあります。1つ目は、学習会だけではなく、調理実習や社会科見学などを行っていることです。調理実習を行っているのは、家庭で十分に栄養のあるご飯を食べていない子ども達がいるという当初の気づきがあったからです。また、豊島区民社協コミュニティソーシャルワーク担当チーフの大竹宏和さんは、「イベントは、子どもたちの多様な可能性をみるための”しかけ“。学習以外の活動を通して、大人たちは、子どもの色々な良さを知ることができる」と話します。普段はじっとしていられない子が、遠足の時には、静かに整列したり、真剣に見学していたり……。
また、「子どもたちに色々な経験をさせたい」という大人たちの想いもあります。ある時、「自分は、夏休みどこにも行くところがないから、ちゅうりっぷ学習会があってよかった」と話してくれた子どもがいました。父も母もほとんど家に帰ってきていない家庭でした。子どもたちの中には、遠出や旅行をしたことがないなど経験が乏しい子どもいます。
色々な世代の担い手が子どもを支える
2つめの特徴は、担い手です。民生児童委員、青少年育成委員、大学生、その他、ボランティアなど、子どもにとっては、お兄さん・お姉さん世代から、おじいちゃん・おばあちゃん世代まで幅広い人たちが、学習会に参加しています。大竹さんは、その効果を、「子どもたちは、お兄さん・お姉さんに教えてもらうとうれしくて、ニコニコしている。一方、民生児童委員は、子どもの状態を見極めて、がっちりと受け止め、叱ってくれる。色々な世代の、色々な大人がいることが、子どもには大切」と話します。
精神的な面を支える場として
親が夜働いて朝起きられない。そんな子どもたちも、学習会に誘いあってきています。また、学習会にしばらく来ていないことで、「あの子は大丈夫かな」という気付きにもつながります。「学習会が、家庭の事情で大変な状況にある子どもたちの気晴らしの場になって、精神的な側面を支えることができれば」大竹さんは語ります。
ちゅうりっぷ学習会・にじいろ学習会
- ●豊島区民社協が地域の方々や関係機関、大学生等と協働して運営している学習会。豊島区を1つのキャンパスとして、地域に様々な花が咲き、空に虹がかかるようにと名づけた。地域のみんなで様々な境遇にある子どもたちを受けとめて明るく支えていこうということを意図している。
●ちゅうりっぷ学習会:夏・冬休み他月1~2回土曜日に開催(平成25年7・8月は延べ82名の子どもが参加)
●にじいろ学習会:7~8月の夏休み期間に開催(平成25年7・8月は延べ54名の子どもが参加)
●問合せ:豊島区民社会福祉協議会 地域福祉推進課 TEL 03-3981-9250
http://toshima-shakyo.or.jp/