行け!メンズと歩こう会
男性目線で考える通いの場
掲載日:2023年1月23日
2023年1月号 TOPICS

 

「行け!メンズと歩こう会」の運営メンバーと参加者の皆さん

 

自分も地域も元気になる活動を

足立区社会福祉協議会の登録サロン「行け!メンズと歩こう会」は、60~70代の男性6人が運営するウォーキングを中心にした通いの場です。2021年10月から毎週水曜日、区内2か所の公園を交互に拠点として、ウォーキングやラジオ体操、脳トレなどを行っています。

 

決まり事は「夏は32℃を越えたら中止」「当日の朝9時半に雨が降ったら中止」のみで、誰でも参加できます。各自が無理のないペースで、他愛ない会話を楽しみながら1時間ほど体を動かします。時には公園を飛び出し、バスも使いながら、大学の学食を食べに行くこともあります。

 

公園を飛び出し、区内の大学へ学食を食べに行く企画、大学に到着し一呼吸

 

包括と一緒に動きはじめ、徐々にメンバー主体へ

足立区では、男性が通える場の少なさや、一人暮らしの高齢者の増加、コロナ禍でフレイルがすすんでいることなどの課題があったといいます。足立区社協基幹地域包括支援センター(以下、包括)の長手裕子さんは、「コロナ禍で介護度や困りごとが大きくなってから相談にくる方も増え、予防の段階から関わらなければ、という意識が高まっていた」と言います。同時期に、包括で区内の65歳以上の住民を対象にした生活の様子や困りごとなどに関する調査があり、自ら同じマンションに住む高齢者に声をかけて見守りをしている方や町会や自治会、消防団などに所属し、地域で活躍している方がいることも明らかになりました。

 

特に男性に焦点を当て、声をかけて集まったのが「行け!メンズと歩こう会」の運営メンバーです。代表の荒木秀行さんをはじめ集まったメンバーと共に、介護予防や活躍の場を増やす方策を男性目線から考えました。長手さんは「調査でウォーキングをしている人が多かったことやコロナ禍でも会場が確保しやすいなどの条件も重なり、まずはウォーキングから始めよう、となった」と振り返ります。メンバーは活動内容を企画、包括は周知と集客、と役割を分けて一緒に走り始め、21年12月からは足立区社協の登録サロンとしてメンバー主体で活動しています。

 

ウォーキングの一場面

 

一つの活動から広がる輪

現在、60〜80代までの男女15人ほどが毎回参加しています。民生委員が気になる住民を誘って、一緒に参加することもあるといいます。コロナ禍で外出を控えるうちに、家にこもりがちになっていたという参加者は、「運営メンバーの一人に誘われたことがきっかけで参加した。最初は一番ゆっくり歩いていたが、話しながらだとあっという間に歩けるし、何度か来るうちにだんだん歩く力が戻ってきた」と話します。運営メンバーは「何か地域の役に立つことがあればと思って始めたが、2週間誰とも話さずにいたという参加者がいて驚くこともあった。参加者に『次はいつ?』と聞かれると使命感も生まれる」と話します。一方、荒木さんは「家にこもっている人とどのようにつながったら良いか考えているがなかなか難しい」と現状を語ります。

 

包括梅島・島根地域課長の吉清健太郎さんは「男性が参加しやすい通いの場は貴重。この活動をきっかけに、包括に気がかりな住民を知らせてくれたり、町会や自治会で包括を紹介する機会をつくってくれたり、一つの事業から連動して、相乗効果が生まれている」と、活動を通じて生まれたひろがりについて話します。

 

 

取材先
名称
行け!メンズと歩こう会
概要
社会福祉法人 足立区社会福祉協議会
https://adachisyakyo.jp/
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