社会福祉法人 ベタニヤホーム 母子生活支援施設ベタニヤホーム
ホームページリニューアルを機に施設の活動を分かりやすく発信
掲載日:2024年7月12日
2024年7月号 連載

ベタニヤホーム
(左から)施設長 伊丹 桂さん、

松丸 富士恵さん、板谷 かなとさん

 

あらまし

  • 法人や施設の“顔”として、あらゆる関係者に情報を発信できる公式ホームページ。今号は、プロの協力を得て、2024年4月にリニューアルを実現した、母子生活支援施設ベタニヤホームに取材しました。

 

施設を必要とする人にさらに情報を届けたい

ベタニヤホームは、関東大震災により被災した母子の保護と救護のために1923年に設立され、2023年に創立100周年を迎えた母子生活支援施設です。施設長の伊丹桂さんは「全国的にみて母子生活支援施設の数は減少しています。一方で、DV被害やひとり親世帯の貧困などの問題が深刻化する状況下で、施設を必要とする人たちは数多くいるのに、存在を知られていない状況があります。また、施設を公に広報できない性質もあり、施設を本当に必要としている人に果たして情報が届いているのか疑問がありました。そこで、さらに多くの人にベタニヤホームを知ってもらうため、まずは公式ホームページを一新し、必要な情報を積極的にお知らせしたいと思いました」と、背景を話します。

 

それまでベタニヤホームの公式ホームページは、イラストや文章などを主に職員が手掛けていましたが、今回のリニューアルでは、文章やレイアウト、撮影などの制作をプロの力を借りた方がより訴求力が高まると考え、ライターやデザイナー、フォトグラファーに協力を仰ぐことにしました。プロの方々は、伊丹施設長が施設運営でお世話になっている方からの紹介で、コスメやアパレルの第一線で活躍し多忙なメンバーばかりでしたが、母子生活支援施設に興味を持ち、ベタニヤホームの理念や想いに理解を示してくれ、制作に協力してくれることになりました。助成金も活用し、施設の広報委員会がかじ取り役となり、プロと連携しながらリニューアルに向け動き出しました。

 

対象を絞り込んだ分かりやすいデザイン

広報委員会メンバーの一人、松丸富士恵さんは「まず、ターゲットをどうするか。そこの検討には時間をかけました。地域で困っている方にベタニヤホームのことを知ってほしいという想いに加え、施設を応援してくれる人たちや企業にも、我々の理念や活動を届けたいと考えました」と話します。その結果、ターゲットを「支援が必要な人」と「支援したい人」の2つに絞り、「暮らしたい方へ」と「ご支援の受付」というタブをトップページに作成しました。

 

PCのトップ画面。2つのタブにより、サイトを訪れた人が何を知りたいか即座に分かります

 

 

 

同じく広報委員会メンバーの板谷かなとさんは「PCで見る画面とスマホで見る画面を意識して区別したのもポイントです。施設を探す方は切羽詰まった状況の中で、PCではなくスマホで情報を検索することが大半だと思います。そこで、スマホ画面でトップページを開くと『暮らしたい方へ』というポップアップが表示され、問合せ先の情報にすぐに飛べるしくみにしました」と話します。「ご支援の受付」ページには、寄附やボランティアへのお礼のメッセージと、寄附の方法やボランティア募集への問合せ方法が分かりやすく掲載されています。

 

スマホのトップ画面。「暮らしたい方へ」のボタンを押すと、

連絡先が掲載された画面へ移ります

 

デザインは、全体的にシンプルで温かみのあるものに統一しました。写真は、広報委員会のメンバーが打ち出したい雰囲気をフォトグラファーに提示し、約2日間をかけてすべて撮りおろしたもの。松丸さんは「施設内も人物も自然なカットにこだわりました。職員の生き生きとした姿が分かるカットは一押しです。フォトグラファーに『ここを撮ってほしいです』といった要望を伝えながら撮影した、どれも自慢の写真ばかりです」と嬉しそうに話してくれました。

 

特徴的なのは、ホームページに掲載している写真の中に、利用者が登場していること。板谷さんは、「きちんと趣旨を説明し、了承を得た方を撮影しましたが、掲載するのは正直悩みました。それでも、ここに来た方がどういう風に暮らしているのかリアルにイメージできるのは、実際の利用者さんが載った写真以外ないと思ったのです」と語ります。2023年夏ごろから検討を始め、約半年間の制作期間を経て2024年4月1日にリニューアルしました。

 

退所された方たちにも広報していきたい

伊丹さんは「プロの方々に要望をお伝えするために、自分たちの施設の理念や活動を改めて振り返るきっかけにもなり、職員にとっていい経験になったと思います。ただ、ホームページを一新したからといって、これで終わりとは思っていません。これからは施設を出た『退所者』向けにも、ベタニヤホームのイベント情報などをお知らせできるような広報のしくみを考えていきたいです」と、リニューアルの所感と今後の展望を語ってくれました。

 

ベタニヤホームはこれからも、さまざまな課題を抱えた母子のため、施設の魅力や情報をこれからも発信し続けます。

取材先
名称
社会福祉法人 ベタニヤホーム 母子生活支援施設ベタニヤホーム
概要
社会福祉法人 ベタニヤホーム 
母子生活支援施設ベタニヤホーム
https://bethanyhome.tokyo/
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