岩手県/平成30年3月現在
震災時に直面した課題を解決する取組み
東日本大震災における災害時対応の課題をふまえ、法人として、また沿岸ブロックおよび県の高齢協としてさまざまな取組みをすすめています。
(1)沿岸ブロック高齢協、県高齢協による災害支援協定の締結
沿岸ブロック高齢協では、平成25年4月1日、防災ネットワーク協定を締結しました。先行事例としては、平成23年8月に締結された山形県高齢者福祉施設防災ネットワーク協定があります。
芳賀さん自身も震災時の経験から広域連携をすすめる支援協定の重要性を痛感していたため、まずは沿岸ブロックの16法人に働きかけ、ブロック協定として実現しました。
この協定は、被災した施設と被災していない施設が、避難者の受入れや職員派遣、物資調達などのやりとりをスムーズに行えるようになることを目的としています。主な応援内容は下記のとおりです。
施設への職員派遣は、被災した施設にとっては職員の被災や離職などによる人員不足を補うことができ、事業継続の面から効果が見込まれます。また避難者の受入れを検討する施設にとっては、避難者対応職員を職員派遣により確保しやすくなるという安心感にもつながり、ひいては広域的な避難者の受入れがすすんでいくことが期待されます。
この協定を全県に広げるものとして、平成26年7月11日には岩手県高齢協の災害時相互支援広域ブロック協定が締結され、さらに平成28年6月には岩手・宮城・福島・山形・青森・秋田・仙台の東北6県1市の災害時相互支援協定が締結されるなど、広域連携をすすめる協定締結の動きは広がりを見せています。
(2)災害をイメージした備蓄整備等
災害時の事業継続を考えるうえでは、物資の備蓄も欠かせません。堤福祉会では、ライフラインが停止した場合でも最低3日間はしのげるように備蓄などの整備をすすめています。
「災害時には各所からたくさんの物資を送ってもらって助かったが、一方で仕分けや保管など管理に困ったことも事実。今日必要な物が明後日必要になるかどうかもわからない。あらかじめ自分たちで必要な物資を用意しておけば災害時に役立つことはもちろん、他の地域で物資が必要になった時にすぐ提供することもできる」と芳賀さんは言います。
さらに「福祉関係者は自分たちが被災するというイメージをもつ人が少ない」と問題点を指摘し、具体的な被災イメージをもって備えていくことが重要と言います。
堤福祉会では、ライフラインとしては、小型発電機を電源とする非常用コンセントを室内に設置したり、オール電化のため停電時でも調理などができるようプロパンガスを用意したり、生活用水を地下水や沢水から確保できるような対策を取っています。
また通信・連絡手段としてはトランシーバーや衛星電話、アマチュア無線の準備などを行っています。
これ以外にも、災害発生時の職員参集についてルールを定めたり、防災ヘリの民間協定を締結し住民参加型の訓練を定期的に実施するなど、施設の内外で取組みをすすめています。
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