(社福) 慶信会 城南学園・第二城南学園
「避難後の訓練」と「広域ネットワーク」の重要性に気づいた熊本地震
掲載日:2018年8月8日
ブックレット番号:7 事例番号:79
熊本県/平成30年3月現在

左:城南学園所長 井上 砂緒里さん

右:慶信会事務局長 甲斐 正法さん

 

ポイント

  • (1) 利用者が生活していた棟が全壊する中、利用者のルーティンを崩さないことを目標に早期再開を目指した。
  • (2) 生活環境が復旧しても、利用者も職員も心の傷が癒えるのに時間がかかった。心の復興を支えたのは地域や全国の人との関わり。
  • (3)強い使命感のもと職員は不安も抱えた。「やっていけるかもしれない」と思えることを支えることが必要。

 

 

あらまし

  • 社会福祉法人慶信会が運営する障害者支援施設「城南学園」と多機能型事業所「第二城南学園」は、知的障害などのある方が、農芸作業や創作活動、職業訓練等を行っています。熊本市南区城南町は、平成28年に発生した熊本地震で被害が大きかった地域に隣接し、前震・本震ともに震度6強を観測する大きな揺れに見舞われ、本震で利用者が生活する棟の一つが全壊し、24名の利用者は公用車で夜を明かしました。
  • 城南学園・第二城南学園では、台風や水害、火災などを想定した避難訓練を毎月1回行っていたため、全員けがなく避難できましたが、利用者の中には普段と違う状況に戸惑う方も多くいました。城南学園所長でサービス管理責任者の井上さんは、「被災後の生活を想定した訓練も必要だということを実感した」と振り返ります。
  • 園では被災しても「利用者のルーティンを崩さないこと」を目標に掲げました。そのためには、「早期再開」が重要です。その目標のもと、利用者の安全と衣食住を確保しつつ、ニーズにこたえる方法を考え、一つずつ復旧に向かって取りかかり始めました。日中活動も震災の翌週から再開しました。生活環境の復旧がすすんでも、災害による心の傷が癒えるのには時間がかかります。不安定になる気持ちを支えるべく、平成28年から1年間で城南学園・第二城南学園の近隣にある仮設住宅の住民も招いて復興祭を3回開催しました。また、利用者だけでなく、職員の気持ちの落ち込みへの対応も重要でした。
  • 社会福祉法人慶信会事務局長の甲斐さんは、今回の被災において、広域ネットワークにとても助けられたと言います。外部からの応援やボランティアは、少し時間をおいてから間接的な支援をお願いすることにしました。「知らない人」が入ってくることを利用者がどう感じるかを考えてのことです。発災から1か月半後に敷地外の仮作業所で事業を再開し、29年4月からは元の敷地に戻ることができました。

 

取材先
名称
(社福) 慶信会 城南学園・第二城南学園
概要
(社福)慶信会 城南学園・第二城南学園
https://www.keishinkai-jyounan.or.jp/
タグ
関連特設ページ