コーダえんとは
コーダえんは、2020年に設立されたコーダの自助グループです。コーダとは、聴覚障害者の親を持つ聞こえる子どもを指す言葉で、CODA:Children of Deaf Adultsの略です。
自身もコーダであり、団体を運営する村下初海さんと馬場美和子さんは、精神障害者の親を持つ子どもの立場の方との交流がきっかけとなり団体を設立しました。コーダだけでなく、さまざまな理由で家族のサポートをしてきた人とのつながりの中で共感や気づきを得られることを実感したからです。
その気づきや学びから、過去の傷つきや悩みを振り返ったり、ネガティブな思いも含めたありのままの気持ちを言葉にしたりする場が必要だと思い、コーダえんを立ち上げたといいます。
悩みや心のわだかまりを少しずつ消化する
当初はコーダを対象に活動していましたが、現在はコーダのほか、関心のある方も参加できます。
現在、主にオンラインを活用し、2つの活動を行っています。
一つ目は、テーマに応じた専門家を招き、講義形式で学ぶ場です。村下さんは「悩みを吐き出しても、消化できないことはある。そんな悩みを消化する道筋の一つになれば」と、学ぶことのねらいを語ります。
直近では、これまで繰り返し語られてきたコーダの悩みに着目し、その悩みが生まれる理由を考える連続講座を行いました。例えば、コーダは、親をサポートする機会が多いために、手助けという意識を超えて、常に親のことを気にかけたり、親と自分を重ねて考えたりしてしまうことが少なくないといいます。その状況について「子どもの発達」という視点から学び、考える講座を行いました。こうした学びの機会によって知識を得ることは、言語化できない悩みや心のわだかまりを整理する助けとなっています。馬場さんは「これまで親のサポートをすることが美談として済まされてしまう傾向があることを受け入れられなかった自分がいた。その気持ちもまた自然なことだと知り、心が軽くなった」と話します。参加者からも「自分の生きづらさの原因が少し分かった」、「子どもの時に知りたかった。親にも知ってほしい」という声があったといいます。
二つ目は、語りの場である「ゆったり時間」です。臨床美術を取り入れた表現活動や、コーダ、ヤングケアラーとしての悩みだけではない他愛ない話題など、その時のメンバーに合わせた内容で行っています。村下さんは「活動を重ね、『コーダの私』ではなく、『私』を真ん中に置いて考えていこうと思うようになった」と言い、「コーダであることに囚われすぎないよう、息抜きのための場としてありたい」と話します。
さまざまな自助グループの一つの選択肢としてありたい
村下さんは「知識を得て、『コーダだから』ではなく、育った環境が要因となって生じる悩みもあると改めて感じた。ヤングケアラーやきょうだい児など多様な『子どもの立場』の方々や団体ともつながり、コーダだけでない視点や知識を得るとともに、自分のことを掘り下げる機会につなげたい」と、展望を語ります。
馬場さんは「コーダと一言で言っても、人によって状況はさまざま。どんな状況の人でも、気持ちを話せたり悩みを消化できたりする場が必要であり、いろいろな形の自助グループの一つの選択肢としてありたい」と今後を話します。
過去の「ゆったり時間」のチラシ
人と人とのつながりと、心の安心と豊かさの回復をめざす、語らいと学びの場を運営するコーダの自助グループ。
学ぶ場は、年3、4回開催。
「ゆったり時間」は年3回開催。次回の開催は、12月17日。
https://20codaen.amebaownd.com