中村雅彦さん(福島県視覚障がい者福祉協会 専務理事)
東日本大震災で被災した障がい者の困難さを聞き取る
掲載日:2017年12月19日
ブックレット番号:4 事例番号:44
福島県福島市/平成27年3月現在
福島県福島市/平成27年3月現在
ポイント
- (1)震災及びその後の避難生活で障害者が相当なストレスを抱えていた実情がある。
- (2)特別支援教育では、指示を待つだけでなく、危険を回避する能力を個々に高める教育が必要だ。
- (3)障害児者は特定の人だけと関わって暮らすのではなく、地域に生き、災害時に手助けが必要なことを地域に認知させることが必要だ。
- (4)災害時に日中活動がなくなり機能を低下させた障害児者が多く、日中活動の早期再開が重要だ。
- (5)福祉職は本人の自立のためにも、自分がやるということに線引きをしていかなければならない。
あらまし
- 東日本大震災発生時、いわき市の学校に勤めていた際の卒業生の多くが海辺に住んでいたため、中村雅彦さんは安否確認を始めました。そこでは、震災及びその後の避難生活で相当なストレスを抱えていることがうかがえました。そして、平成23年4月からは県内の視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい、発達障がい、歩行困難な身体障がい者の当事者や遺族等関係者の聞き取り調査を始めました。その中で、災害時の障がい者の実態が見えてきました。災害が発生した時に誰かの助けを待つよりも、自分にできることをしている方が、助かる確率は上がることに気づきました。避難訓練を再考し、特別支援学校でも、危険回避能力を高めていく教育が必要です。また、避難所の暮らしは障がい者の力を奪っていました。作業所に通えていた方がつまずくようになっていました。日中活動のできる施設の早期再開が大切です。さらに、混乱した状態の中でも避難させるのはとても難しく、障がいを理解した上で支援してくれる人の力が必要です。地域においてどこに障がい者が生活していて、災害の際には手助けが必要と地域住民が認知しておくことが必要です。
- 中村さんは「『私がやらなきゃ誰がやる』という気持ちだったが、本人の自立のためには、その線引きも必要になる」と語ります。
取材先
名称
中村雅彦さん(福島県視覚障がい者福祉協会 専務理事)
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